マンション管理における、「頻出ワード」の解説です。
管理組合運営
区分所有者
マンションの「所有者」のこと。
つまり、オーナーのこと。
「借りて住んでいる人(賃借人)」は含まない。
組合員
区分所有者と同義。
区分所有者は、自動的に組合員となり、拒否できない。
マンション管理組合
マンション共用部分の維持管理を行う団体。
区分所有者の「全員で」構成される。
賃借人
分譲マンションの1室を、「借りて住んでいる人」のこと。
占有者
マンションの1室を、「事実上支配している人」のこと。
「事実上支配している人」とは、一般的に、「借りて住んでいる人」のことを指す。
なので、賃借人は占有者と同義であることが多い。
マンション管理会社
マンション管理組合より、マンションの管理運営を委託されている業者。
区分所有法
法律。
マンションを規定するルールの一つ。
マンション管理規約と混同されがちだが、別物。
マンション管理規約
マンションのルールブック。
区分所有者や占有者は、この管理規約に制限を受け、マンションを利用する。
非常に重い決め事であるため、内容の変更には、多くの区分所有者の同意が必要。
区分所有法で「法令上絶対に守らないといけないこと」は、意外に少ない。
区分所有法では決められないマンション個別の事情を、管理規約で決める、というイメージ。
マンション使用細則
管理規約とともに利用される。
管理規約では、マンションの基本的なルールを策定するものだったが、使用細則では、マンションを使う上での具体的なルールを策定する。
管理規約と比べて、少ない人数の同意(出席者の過半数)で変更が可能。
例えば、「ごみ捨てのルール」は使用細則で決定する。
総会
マンションにおける、「最高意思決定機関」。
マンションで、「重要なこと」はすべてこの総会で決められる。
マンションの区分所有者の全員に参加する権利がある。
なお、賃借人には、参加する権利(いわゆる議決権)はない。
許可があれば、その場に出席は可能。
総会出席者
二通りの意味がある。
- 総会の場に「現に出席した者」としての意味
- 総会の場に「欠席はしたが、議決権行使書または委任状を提出して参加した者」という意味
現場では、言葉としての使い分けを明確にしていないので、どちらを指しているのかは聞き手が聞き分けなければならない。
なお、会議の運営上、どちらも「総会に出席した」として同等に扱われる。
議決権行使書
総会に出席できない場合、事前に賛否を記載した書面を提出することで、議案の賛否を表明すること。
これにより、総会当日に欠席したとしても、総会の意思決定に参加できる。
委任状
議決権行使書と同じく、会の当日に欠席する際に提出する書面。
こちらは議決権行使書と違い、「第三者に委任」を行う。
一般的に、「総会の議長」に委任することが多い。
議決権
総会(あるいは理事会)の決議に参加し、票を入れることができる権利のこと。
「部屋の面積に合わせて議決権が設定されている場合」と、「1住戸1議決権に設定されている場合」がある。
多くの場合は、「1住戸1議決権」。
普通決議
総会での「物事の決め方」の一つ。
特別決議と、普通決議の二種類がある。
普通決議は、「総会出席者(これには議決権行使書、委任状を含む)の過半数の同意」で決議される。
特別決議
総会での「物事の決め方」の一つ。
特別決議と、普通決議の二種類がある。
マンションにとって重要なことは特別決議で決める。
特別決議の可決には、全議決権(及び区分所有者数)の3/4以上の賛成が必要となり、高いハードル。
理事会
二通りの意味がある。
- 組織の名前としての「理事会」
- 会議の名前としての「理事会」
現場では明確に使い分けがされておらず、聞き手が聞き分ける必要がある。
組織としての理事会とは、「総会の執行機関」である。平たく言うと「役員さん」
会議の名前としての理事会とは、「第1回理事会」のように使われる名称。
理事長
管理組合の役員の一つ。
マンションの代表者となり、非常に権限が大きい。
会社に例えると社長。
副理事長
管理組合の役員の一つ。
有事の際は、理事長の代行を行う。
実務的には、「名ばかり」となるケースが散見される。
理事
管理組合の役員の一つ。
会計担当理事、設備担当理事、防火担当理事、など、様々な役割が付されている場合がある。
役割がない場合もある。
監事
管理組合の役職の一つ。
理事会メンバーとは一線を画す存在。
例えば、監事は、理事会での議決権を持たない。
これは、会議を「監督・指導」する立場であるため。
議決権を持ち会に参加してしまっては、当事者となってしまい、監督できないから。
管理規約上も、(条件次第では理事長を超えるほどの)非常に強い権限が与えられている。
実務上は、「名ばかり」というケースが散見される。
(役員の)輪番制
役員になる順番を決めて、持ち回りで就任する方式。
多くのマンションで採用されている。
順番の決め方は、「部屋番号順」であったり、「くじを引いてランダムな順番を決めたり」と、いろいろ。
議案書
審議される内容が記された資料のこと。
一般的に、管理組合総会での審議内容の書かれた書面で、総会開催の2週間ほど前に区分所有者へ配付される。
なお、作成は管理組合が行う。
現実は、その素案を管理会社が作成し、管理組合は承認を行うだけ、という方式が一般的。
議事録
管理組合総会(あるいは理事会)の、会の模様が記された書類。
これも、議案書と同じく、管理会社が素案を作成し、それに管理組合が決済を下す。
設備・建物
共用部分
マンションにおいて、専有部分「以外の」建物や設備の部分。
廊下や、階段、エレベーターなど。
勘違いしやすいが、「ベランダや窓ガラス、網戸」も共用部分と規約で設定されている場合が多いので注意。
専有部分
壁や床、天井に囲まれた居住空間のこと。
この部分は、各個人の所有物となり、登記の対象となる。
マンションによって、「専有部分と共用部分の切り分け」は異なる。
これは、管理規約によってマンションごとに決められているため。
大規模修繕工事
一般に、10年~15年周期で行われる、「足場をかけた外壁の塗装工事」のこと。
建築基準法における「大規模な修繕」とは定義が違うので注意。
建築基準法では、「建築基準法における大規模修繕等の定義(建築基準法第2条第14号 および 15号」において、「建築物の主要構造部を修繕すること」を指す。
この場合、設計業務に建築士資格が必要となる。
該当しない場合は、規模修繕工事の設計に、資格は不要。
長期修繕計画
将来に予想される修繕工事の計画書
費用や周期を決め、それに基づいて積立金の金額を検討する。
会計
管理費
マンションの施設や設備などの維持管理に必要な経費として、各区分所有者から集金する共益費のこと。
マンションの共用部分で利用した電気代や、エレベーターの点検費用、管理会社への委託料金などをここから支払う。
修繕積立金
「長期的な視野において行われる修繕工事」を行うために積み立てられる費用として、各区分所有者から集金する共益費のこと。
「長期的な視野において行われる修繕工事」とは、例えば10年~15年周期で行う大規模修繕工事が該当する。他には、エレベーターの修繕や、排水管の交換など。
一般に、毎年行うような一般的な工事はこれに充てず、管理費から支出する。
使用料
マンションの一部を使用する際に、区分所有者が支払う料金。
駐車場使用料、ポーチ使用料など。
管理費等
「管理費」「修繕積立金」「使用料」など、もろもろの諸費用をまとめて「管理費等」と呼ぶ。
と、標準管理規約に定められている。
ちなみに、管理会社は「管理費等」という表現が好き。
なぜなら、文章が少なく済むから。
由来を知らないと混乱するので注意。
一般会計(管理費会計)
マンションの会計部門は、一般的に二種類ある。
- 一般会計(管理費会計)
- 特別会計(積立会計)
管理費を扱うのが「一般会計(管理費会計)」部門。
「一般会計」と「管理費会計」という呼び名は同義。特別な使い分けはない。
特別会計(積立会計)
マンションの会計部門は、一般的に二種類ある。
- 一般会計(管理費会計)
- 特別会計(積立会計)
修繕積立金を扱うのが「特別会計(積立会計)」部門。
「特別会計」と「積立会計」という呼び名は同義。特別な使い分けはない。
仕事
管理員(管理人)
マンションの現場に勤務し、清掃、入居者対応、設備点検等を行う。
退職者(60歳~70歳前後)を雇用するケースが多く、パートタイム契約が多い。
管理員と管理人は同義。呼び方の違いであり、使い分けは特にない。
フロント
管理員の直属の上司にあたる。
管理組合との窓口を担う社員。
管理業務主任者
フロントに必要な資格。
国家試験で、合格率は20%程度。
フロントにとっての運転免許証のようなものなので、「試験に受からない」で笑って許してもらえるのは入社2年目まで。
3年目からは笑みが消え、5年も受からないと席が消える。
マンション管理士
国家試験で、合格率は8%程度。
マンション管理士には、二通りの意味がある。
- 資格としての「マンション管理士」
- 職業としての「マンション管理士」
資格としての「マンション管理士」ホルダーは、そう珍しい存在ではない。
フロントも取得を推奨されるので。
対して、職業としてのマンション管理士はレア。これは、世間的に、マンション管理士に対する需要が低いためと思われる。