ガス給湯器の寿命について、「実際に設置されている」給湯器を調べました。
マンション6棟分のデータとなります。
結果、概ね、15年~17年前後が寿命なのかな、という結果でした。
営業マンは、「8年~10年くらいっすね!」と元気よく答えますが、あれは単純に「寿命を聞いてくるお客さんは買うつもり(自分の不安を取り除く作業をしているだけ)」とわかっているから答えているのであって、本当に10年ではありません。アテにはなりません。
目次
ガス給湯器の寿命を調べた! 『今回の条件』
今回は、『給湯器の製造年月から取替年月を推測する』方法で、寿命を調べました。
具体的には、2000年に建設されたマンションに2016年製造の給湯器が設置されていれば、そのお宅は「16年の間、給湯器を利用して、取り替えた」としてカウントしています。
もちろん、2016年製造であったとしても、実際には業者さんの倉庫に数か月眠っていて、ホントは2017年に取り替えた可能性があります。
(16年で計算していたけど、ホントは17年使っていた可能性がある、ということです)
しかし逆に、新築の際も若干の誤差がでます。
具体的には、2000年にマンションが竣工していたとしても、実際に入居したのは2001年の可能性があります。
(16年で計算していたけど、ほんとは15年しか使っていなかった可能性がある)
結果として、「プラスマイナスゼロ程度におさまるだろう」という、まぁそういうふわっとした感じのデータです。
気候風土
- 日本の、関西地区のマンションを対象に調査
- 塩害を受けない地区に限定
海の近くは含まれません。
すので、明らかに「環境に左右される」という条件は無いかと。
設置条件
- 築10年以上のマンションを対象
- 全てPS内設置
- メーカーの違いは考慮せず
- 追い炊き有り、無しは考慮せず
- 排気筒(エントツ)の有無は考慮せず
もちろん、家族構成によって給湯器の作動時間は大幅にかわります。
空き家となっていたら、そもそも起動すらしてないですしね。
今回は、そういった「細かい」条件は概ね無視しています。
なお、「給湯機メーカーを考慮しない」、とはしていますが、今回すべての対象がノーリツorリンナイと、大手メーカーの給湯器が設置されていました。
また、ベランダ設置の給湯器は調査対象とはしていません。
これは、単純にベランダ設置の給湯器を目視確認ができないので、調査不能と言うだけの話です。
つまり、今回対象の給湯器は、「風雨にさらされているような、比較的条件の良くないものは対象ではない」ということです。
PS内に設置されている給湯器には雨がかかりません。
そして、PSという箱の中に給湯器本体が設置されているため、吹きさらしと比較して、周囲温度との差がマイルドになります。
そうした理由から結露が減り、発錆も抑えられ、結果として故障率が低減している「可能性があります」。
(データに基づいた確証はありません、あくまでも可能性の話です)
そんなわけで、ベランダ設置の給湯器や、あるいは戸建てに設置の給湯器は、今回のデータより短い取替えスパンになっているかもしれませんので、その辺はご理解ください。
さて。お待たせしました。
では、調査結果を発表。
Aマンションの給湯器の寿命調査結果
【Aマンションの給湯器設置条件】
築年数:約27年
高温さし湯タイプのふろ給湯器が設置。
間取りは50平米~70平米程度。
一人暮らしの方も多く、給湯器の延べ稼働利用時間は比較的少ないと思われる。
なお、賃貸・空室多し。そのため、給湯器を長期間利用していない住戸の存在が気にかかる。
(それが何戸あり、どの程度利用していないのかは不明)
【Aマンションの給湯器寿命調査結果】
12年目まで | 取り替えゼロ |
13年目 | 1 |
14年目 | 1 |
15年目 | 0 |
16年目 | 1 |
17年目 | 3 |
18年目 | 2 |
19年目 | 1 |
20年目 | 1 |
21年目 | 0 |
22年目 | 2 |
23年目 | 1 |
24年目 | 1 |
25年目 | 2 |
26年目 | 0 |
26年目 | 1 |
【Aまとめ】
取替済み給湯器 | 17 |
未取替 | 5 |
取替済み率 | 77% |
【Aマンションについてのコメント】
調べてみて、取替えしていない給湯器が5台もあった(30年近く稼働していることになる・・・)ことに驚いた。
不在、人数が少ない、などの影響が強いような気がする。
Bマンションの給湯器の寿命調査結果
【Bマンションの給湯器設置条件】
築年数:約20年
循環式追い炊き付きのふろ給湯器が設置。
空室は、過去から現在に至るまでほぼなし。
間取りは約70~90平米と、ファミリータイプ。
標準的な「築20年のマンション」と言える。
【Bマンションの給湯器寿命調査結果】
15年まで | 取り替えゼロ |
16年目 | 2 |
17年目 | 2 |
18年目 | 1 |
19年目 | 2 |
20年目 | 2 |
【Bマンションの給湯器寿命まとめ】
取替済み給湯器 | 9 |
未取替 | 22 |
取替済み率 | 29% |
【Bマンションについてのコメント】
築後20年を迎えた今でも7割程度が未取替。
ピークは来ていない?
このまま毎年ゆっくりと取替えが進んでいくのかもしれない。
Cマンションの給湯器の寿命調査結果
【Cマンションの給湯器設置条件】
築年数:約16年
循環式追い炊き付き、さらにセントラルヒーティングの給湯暖房機が設置。
浴室乾燥機、床暖房標準装備。
間取りは70平米~90平米程度のファミリータイプ。
【Cマンションの給湯器寿命調査結果】
14年目まで | 取り替えゼロ |
15年目 | 1 |
16年目 | 2 |
【Cマンションの給湯器寿命まとめ】
取替済み給湯器 | 3 |
未取替 | 19 |
取替済み率 | 14% |
【Cマンションについてのコメント】
想像以上に取替えが進んでいない。
給湯暖房機になったことによる故障率のアップはないのかなあ。
稼働時間の増加は、如実に関係があると思うのだけれど・・・。
ちなみに。
暖房回路の温水は、給湯用の釜を使わず、追い炊き釜で作ってる。
なので、もしかしたら、ちょうどいい塩梅に分散されて、寿命には大きな影響はないのかもしれない。
Dマンションの給湯器の寿命調査結果
【Dマンションの給湯器設置条件】
築年数:約16年
循環式追い炊き付き、さらにセントラルヒーティングの給湯暖房機が設置。
浴室乾燥機、床暖房標準装備。
【Dマンションの給湯器寿命調査結果】
14年目まで | 取り替えゼロ |
15年目 | 2 |
16年目 | 3 |
【Dマンションの給湯器寿命まとめ】
取替済み給湯器 | 5 |
未取替 | 16 |
取替済み率 | 24% |
【Dマンションについてのコメント】
Cとほぼ同条件。
Cと比較して、倍ほど取り替わっているが・・・。
単純な確率の揺らぎの範囲かなあ。
サンプルが少なくて何とも言えない。
Eマンションの給湯器の寿命調査結果
【Eマンションの給湯器設置条件】
築年数:約18年
循環式追い炊き付き、セントラルヒーティングなし。
ファミリータイプ。C、Dとほぼ同条件。
【Eマンションの給湯器寿命調査結果】
12年目まで | 取り替えゼロ |
13年目 | 1 |
14年目 | 1 |
15年目 | 4 |
16年目 | 0 |
17年目 | 2 |
【Eマンションの給湯器寿命まとめ】
取替済み給湯器 | 8 |
未取替 | 25 |
取替済み率 | 24% |
【Eマンションについてのコメント】
やはり、12年くらいから取替えがスタートするようだ。
特にその他のコメントは、ない。
Fマンションの給湯器の寿命調査結果
【Fマンションの給湯器設置条件】
築年数:約20年
循環式追い炊き付き、セントラルヒーティングなし。
20号の追い炊き月ふろ給湯器でPS設置。
で、70平米程度のファミリータイプ。
恐らく、給湯器関係としては、世間的に、最も一般的なマンションだと思う。
【Fマンションの給湯器寿命調査結果】
9年目まで | 取り替えゼロ |
10年目 | 1 |
11年目 | 0 |
12年目 | 1 |
13年目 | 3 |
14年目 | 4 |
15年目 | 6 |
16年目 | 5 |
17年目 | 12 |
18年目 | 8 |
19年目 | 14 |
20年目 | 4 |
【Fマンションの給湯器寿命まとめ】
取替済み給湯器 | 58 |
未取替 | 25 |
取替済み率 | 70% |
【Fマンションについてのコメント】
なんだろう。
17年~19年目あたりスゲーな。
全体の1/3がここに集中してるw
ここがピークなのかなぁ。
総まとめ
A~Fまで、6つのマンションを合計した結果
12年目まで | 取り替えゼロ |
10年目 | 1 |
11年目 | 0 |
12年目 | 1 |
13年目 | 5 |
14年目 | 6 |
15年目 | 13 |
16年目 | 13 |
17年目 | 19 |
18年目 | 11 |
19年目 | 17 |
20年目 | 7 |
21年目 | 0 |
22年目 | 2 |
23年目 | 1 |
24年目 | 1 |
25年目 | 2 |
26年目 | 0 |
26年目 | 1 |
今回の結果から言えることは、「15年~19年前後で取り替えている家庭が非常に多い」という事実。
実務上の感覚的もこの辺はピーク。
ガス給湯器が15年~20年前後で取り替えられている要因
給湯器の取り換えタイミングのほとんどは、「故障したとき」
そして、10年前後で故障した場合は、「一般には修理を選択するであろう」、ということ。
そのため、10年前後で取り替えている家庭が本当に少なかったのだろうと思う。
ちなみに、給湯器の本体価格が約15万円~20万円。
よく故障する「湯張り水コン」という部品は、工賃込みで修理費25000円程度。
営業マンが取替えを進めてきたとしても、悩みながらも、10年くらいであれば修理するという思考はありかと。
例外は、「給湯器の交換と同時に床暖房を取り付けるために、給湯器本体の種類を変える」などの例ですが、残念ながらマンションでは、戸建てと違ってそんなことできません。
そゆ背景もあって、マンションって給湯器が長持ちなんじゃないかなあ。
給湯器の寿命を調査した結果、総評
やはり、耐用年数は15年程度と考えるのが妥当かと思いました。
給湯器の部品の製造・保管について、メーカーは「製造終了後8年」と、オフィシャルには発信しています。
とはいえ、この「8年」という年月は、単に「メーカーの責任の最低限のレベル」の話です。
(「8年までなら、必ず修理可能ですよ、安心してね」と言っている)
部品は、8年以上たってもだいたいあるので、8年をスリ込まれて8年で取り替える必要はないかと思います。
(ただし、ものによっては、製造終了後8年ピッタリで供給停止をやらかす部品もまれにあったりするので何とも言えませんが・・・)
余談、部品も強くなってる話
ガス屋の目線から考えると、1990年代は、給湯器の基盤に対して樹脂製コーティングが始まった時期でして。
基板が製品として「強くなった」時期です。
※樹脂で固定化されたことにより、振動等によるハンダはずれのリスク低減と、単に基板が濡れなくなったので、サビにくくなった。
この樹脂コーティングが製品に採用されたのは2000年前後だったように思いますが、すいません、手元にデータがないので正確な年代はわかりません。
↓こんなやつです
現在では、(おそらく)全ての給湯器にこの技術が採用されています。
そのような背景から、最近の給湯器は基盤に関しては長寿命化が進んでいるのではないかと思う次第です。
ただ。とはいえ、その分、安全装置も増えて、セーフティもよくなっているので、止まりやすくもなってますし、うーん・・・って感じもありますね。
給湯器の交換は、いつが最適か?
「故障するまで放置する」というのが戦略上最も有利だろうとは。
古くなったとしても、極端に燃焼効率が悪くなっている(効率が悪くなってガス代が高くなっている)ようなデータはなかった(はず)ですし。
ユーザーが考えるべき問題は、「故障したからといって、即日給湯器が取り替えられるわけではない」という一点。
作業員の手配、道具の手配、給湯器本体の手配、そして料金面での打ち合わせなど。
もろもろ考えていると、なかなかすぐに交換とはいきません。
ユーザー側も、「どんな給湯器を設置するのか」を考えないといけないですしね。
ですから、短くても2.3日(長いと一週間以上)は、銭湯に行くつもりはしておいたほうがよろしいかと。
大人だけならなんとでもなりますが、赤ちゃんや、部活動をしている学生さんがいると、ちょっとどころかかなり大変ですね。
最近は銭湯も減りましたし・・・。
ちなみに、私がリフォーム屋さん時代のころは、「貸し出し用」の給湯器を用意していて、仮で設置したりしていました。
また、「よく販売される」給湯器は決まっているので、そういうのは在庫を常備して即日対応、ってのもやってました。
給湯器の交換費用の相場については、以下ページでご紹介しています。
https://mscondo.com/kyuto-koukan-souba/
新築15年ですが、マンション管理室から給湯器交換の案内が来るようになりました。
17年目までは我慢しようかと思います。データ参考になりました。
2022/10で築20年のマンションです。故障は全くありませんでした。
たまたま昨年浴槽リフォームを実施した時ついでに給湯器交換をやろうと思いましたが運悪く在庫無しが始まった頃でした。
2021/12はリフォームだけ実施。
2022/9リフォーム業者からやっと在庫出来た旨連絡あり。
2022/10/15昨日交換しました。
製品の銘板を見たら製造年は2022/9とやはり製造したばかりの物でした。
交換した給湯器は一体いつまで使えたんだろうな?の思いもあります。
築26年のマンションです。
湯張り機能が壊れました。
半導体不足の関係で、給湯器は数ヶ月待ちと業者さんに言われて…完全に壊れたらどうしようとドキドキしています。