生活トラブル

マンションの生活音(騒音)問題について管理会社側の経験談

このページは、分譲マンションにおける生活音トラブルについて情報を共有するものです。

  • 一般的な知識
  • 解決手順
  • 管理会社側の感覚

 

という構成でお伝えします。

まず最初に自己紹介しておきますと、私は分譲マンションの管理会社に務める現場担当者で、実務として生活音(あえて騒音ではなく生活音と表現します)問題のうち「火種がくすぶっている段階」については、最前線で対応にあたっている人間の一人であると自負しています。

ちなみに、「火種がくすぶる」以上に問題が燃え広がると、裁判だとか、音の測定の専門会社の出番になるので私の手からは離れてゆきます。(多くのケースでは、どちらかが退去という形で決着がつくことになります)

なので、ここでご紹介するのは、「バチバチのバトルになる前にできること」という趣旨での情報共有です。

はじめちゃん!
はじめちゃん!
バチバチにやりたいなら弁護士の専門分野です。私にはそのあたりの知識と経験がありませんから、お伝えできることがありません

空気伝搬音と固体伝搬音があることを知ろう

音は二種類あります。それぞれの違いは調べてください、ここでは細かくは説明しません。

空気伝播音

よくある例は、

  • 「ベランダで電話している人がいて、季節柄、窓を開けると聞こえて迷惑している」
  • 「楽器(ピアノ)がうるさい」

 

です。

窓を開けていたら聞こえやすいです。また、クレームも主にお互いが窓を開けているときに起こりやすいです。

見落としやすい点として、静かな環境だと窓を閉めていてもこの音は聞こえます

例えば、早朝、車も動いていない時間帯にテレビもつけずじっと瞑想をしてみてください。誰かが咳き込む音が聞こえたりするはずです。(その時間帯に隣人が起床していればですが・・・)

レオパレスのような賃貸アパートでは壁が薄いがゆえに音が聞こえやすく、、、という話をネタとして聞くことがありますが、隣家の音が聞こえるのは何も賃貸アパートだけではありません。これは、建物に不良があるという話ではありませんし、新しい古いもまた、あまり影響がないように思います。集合住宅とはそういうもので、隣人の生活音が聞こえるのは程度問題なのではないか、と考えています。

換気方法が少々特殊なマンションは別だとは思いますが、多くのマンションは、換気のために外気を取り入れる「穴」があります。窓を閉めていてもそこから漏れ聞こえてくるんだろう、と私は思っています。

マンションでピアノを演奏する場合は?

職業でピアノにふれる方は、専用の防音室を作っている事が多いのではないかと思います。

例えば、ヤマハだとこういうの。→ヤマハの防音室のページ(外部サイト)

固体伝搬音

壁面や床など、マンションのコンクリートを通じて聞こえる、すこしくぐもった音が個体伝播音です。

  • 子供が飛び跳ねる
  • 足音がうるさい
  • 椅子やテーブルを引く音がする
  • 掃除機を壁にぶつける

 

などがこの音です。

マンションの「騒音」といえばこちらを指すケースが多いですね。

音の出どころを探るのにも苦労するのがこちら。上階の音だと思っていても、案外と違う部屋の音だったりする、ということは実際にありました。

ただ、これは個人的な経験ですが、私が「音を聞いてください」と言われてマンションで音を聞いた経験だけでいうと、「どこからなんの音がしているか」というのはかなり正確に聞き分けることができています。(上階へ直接確認に行っているので間違いありません)

状況次第で、聞き取りやすい音と聞き取りにくい音があるのだろうとは思っています。

私は実務として、住人から「上階の音が・・・」という問い合わせがあったときには「上の音ではないかもしれないので疑わないほうが良い」というぼかした返答をすることが多いのですが、これは単に、もし間違っていたときに大きなトラブルになる可能性がある(疑われた側が逆上するなどのリスク)などの理由です。初手から後退の道筋を作っているだけのことで、実際のところは高い確率で下階側が感じる「音の原因」は正しいとは考えています。

デシベル計で音を数値化できる

「音がうるさい」と聞いて、「どの程度の音」を想像しますか? これは個人差があります。

ひとまずの客観的な数値として、たびたび判例などでも話題になっている基準を紹介しておきます

 

この辺の細かいことは補足しません、調べてください。

雑にまとめると、概ね「夜間や早朝は45デシベル以下」であることが住宅としての数値だ、ということが重要なポイントになると思います。

では、45デシベルというのはどの程度の音なのでしょうか。

「デシベル」はスマホのアプリで簡易チェック可能

音の大きさは、「デシベル」という数値で計測することができます。

iPhone、アンドロイド、ともにアプリがありますから「デシベルメーター」とでも検索してみてください。

で、自宅で実際に(ついさっき)計測したものが以下の画面です。

騒音測定器の画像(自宅計測結果)

上記は、iPhoneの「騒音測定器(外部サイト)」というアプリで計測しています。

スマホで計測しているので、プロが利用する機器と比較すると正確な数値ではないのですが、過去にデシベル計を横において比較しても(それほど)大きな違いはなかったので、簡易的に利用するのであればそれなりには活用できると思っています。

これはぜひやってみてください。すごく参考になります。

ちなみに、電話をしている人がいるオフィスや、同じ部屋の中でテレビがついている環境で、50~60デシベルくらいになります。

40デシベルというのはかなり静かです。

では、子供がドタバタ走ったときの音はどうかというと、(実際に測ったことはないのですが)どうやら50~60デシベルくらいのようです。

で、東京都の環境基準によれば、「昼間とされる午前6時~午後10時までであれば、50~60デシベル程度は受忍限度の範囲」としているわけですから、この環境基準に照らし合わせるなら、一般的には早朝とされる午前6時すぎに多少子供が走り回っていても「問題ないのでは?」ということになります。

「うるさい」と感じるのは、「理不尽だ」と感じる音が発生したとき

「我慢できない音」、つまり理不尽だ、と感じる音というのは、音の大きさで判断できるものではないことのほうが多い、ということは経験則として強く感じています。

小さな音でも、静かな環境で聞けばことさらに大きく聞こえますし、大きな音でも、周囲がうるさいと全く気になりません。

例えば子供が走り回る音が50~60デシベルだったとして、下階側が常時テレビを付けている環境で生活している場合、こちらもだいたい同じくらいの音が環境に存在しますから、うるさいとは感じにくくトラブルにはなりにくいです。足音がテレビの音にかき消されてしまうからです。

しかし、逆に、下階側が一人暮らしで非常に静かな環境で過ごしている場合は、大人が通常の歩行をする程度の音でも敏感に察知して「うるさい」と感じることもあります。

過去、いろいろな苦情を受けてきたのですが、それらの全てに共通するのは、「常時発生している音に対して怒っているケースは稀」ということです。

例えば工事現場や、線路、病院などの近くに住んでいて、音の発生が日常になっている環境であれば、それらに対して「うるさい」とは思わないケースが多いです。

それはそういうものだと思っているから我慢しているうちに慣れるとか、どうしてもダメな人は引っ越すとか、そういう行動を取りますから、管理会社や音の発生源に対してクレームを入れるケースはあまりありません。

まあ、これらのパターンだと、管理会社が連絡を受けても何もできないですが。ご自身で音の発生源と話し合っていただけませんか、というくらいの回答になると思います。

また、支払額が安い物件は、音に関するクレームが少ないように思います。

理由はおそらく、音で悩む側が「そんなにお金払ってないから仕方ない、こんなもんだろう」と諦めているんだと思います。特に木造アパートの場合、「音は聞こえるものだ」と思って皆さん入居されますから、それなりに「つもり」が、できているのだろうと予想しています。

(解決し難い)大きなクレームの多くは新築の分譲マンションです。特によくあるのが、今までマンションに住んでいなかった方が「分譲マンションは壁や床が厚いから静かです」という宣伝文句に惹かれてマンションを購入し、しかし決して無音ではないことが理解できず、ほんの僅かな音も敏感に察知して指摘し、無音での環境を要求するパターンです。(無理なので解決しません)

解決手順

単に「音がうるさいんです」といっても、それにはたくさんの情報、可能性が含まれています。

よくよく確認をしなければなりません。

加害者と被害者

このページでは、わかりやすく加害者と被害者という表現をします。

  • 「音を出している側」を加害者
  • 「音の苦情を申し立てている側」を被害者

 

とします。

余談ですが。

生活音の問題でこじれるケースにおいて、「音の苦情を申し立てている側」が過敏であり過剰に要求するがゆえのものである、ということのほうが、実は割合としては多く「音を出している側」が生活リズムを変えさせられたり、過度に対策をさせられたりと苦労している例は珍しくありません。

なので、本当の被害者は「音を出している(音の苦情を言われている側)」ではないか、というのは、私がこれまでいくつかの例を見てきた感想です。

ただそれを言い出すとややこしくなりますから、ここでは単純に「音を出した側」を加害者として表現を統一します。

問題を切り分ける

音の原因はなにか
→わかっている場合は音の出し主と交渉、わからない場合は調査。

音は客観的に問題あるのか
→問題あるなら止めてもらうよう交渉する。「一般的なレベルならなら我慢もしなければならないこともある。

音は対策可能か
→対策が可能なら交渉する。これは音の大小に関わらない。近所関係の中でお互いが歩み寄り配慮し合うことは重要。

このあたりが確認事項です。

確認事項①:音の原因はなにか

まずは音の原因を突き止めなければ始まりません。

地道な作業にはなりますが、一つ一つ可能性を潰していく作業となることも多く、発想力や、マンションに対する基礎的な知識も求められ、意外とスキルが求められることではあります。

このとき。被害者側は、何時何分にどのような音がしている、ということをメモしておいてください。

関係ないかな、と思う些細なことでも全てメモしてください。音の調査は多角的なものとなり、パズルのような側面があります。調査をする上で、どんな小さな情報でも重要な手がかりになります。

生活音(足音、健康器具、日曜大工、パーティー、ピアノなど)

音がなっているときに、当該住戸のインターホンを鳴らして訪問、確認すると確実です。

加害者側が確認の要請に応じないケースもないこともないでしょうが、丁寧に話せば協力するのが社会生活を営む人間のごく自然な対応でしょう。

注意すべき点として、加害者側は自らの音に気づいていないことがあります。

実体験として、「早朝○時に音がするそうなのですが心当たりありますか?」と聞いたときに「いえ、その時間は眠っていますよ」という回答があったにもかかわらず、調査をすすめるとトイレにゆくときの足音であった、ということがありました。

加害者側は、ごく一般程度の生活しかしていないため、まさか足音が階下に響いているとは知らず、また、トイレに行ったとしても特に活動もしておらずベッドに入っている時間帯であったため「眠っている」と回答したようです。

この例では、被害者側が非常に過敏で、どんな音でも気になってしまう、という体質であったことが原因でした。

しかし、被害者側は、自らが過敏であるということに気がついていないので、第三者の管理会社に相談するときは「早朝から信じられないくらい大きな音がする」と表現するのです。実際はデシベル計ですら拾わない程度の音であったとしても、です。

調査の際は、主観的な情報を常に排除するよう心がけてください。人に聞くときも同じです。

上の例なら、「心当たりは?」と聞かず「○時に何をしていますか」や「起床は何時で足音がたつとしたら何時ですか」というレベルまで落とし込まなければわかりませんでした。本例では、最終的に聞きに行ったので足音だと当たりをつけることができたのですが、被害者側の「信じられないくらい大きな音」を鵜呑みにしていれば、いつまでたっても音の原因にはたどり着きませんでした。(実際には集中すればかすかに聞こえる程度で、それで睡眠を妨げられる方は極めて稀だろうし、また、文句を言われるような音ではない、という程度の小さな小さな音でした)

具体的な、確実性のある情報とそうでないものを切り分けて整理してゆかなければ、いろいろなものを見誤ることになります。

なお、管理会社は、通常、こういった生活音の仲裁には入りません。管理会社の対応について、詳しいことは後述します。

機械音(給湯器、エアコン、エコキュート、排水音など)

室内の音か、室外の音かをまず切り分けましょう。

室内の音であれば、ブレーカーを落としてしまえば確実に止まりますから、それで判断可能です。(ブレーカーを落とすと、ガス漏れ警報器のトラブル信号が出る可能性があるので注意してください、細かい対策は管理会社等のプロに確認してください)

機械音の場合、管理会社や音の専門会社など、プロの意見を求めることになるのだろうとは思いますが、存外に原因調査には時間がかかることが多く、あまつさえ解決しないケースも世の中にはちらほらあるようです。

住人から「音がする」と言われて訪問しても「音そのものが確認できない(聞こえない)」という例すら実際にあったことを私は知っています。

このケースだと、調査の結果、音の原因が共用部分にあるのであれば、調査費用及び改善にかかる費用を管理組合負担とする、という確約を得た上で、個人負担で音の専門業者を手配し徹底的に調査する、というのはありだと思います。

分譲マンションの場合、管理会社としては音の確認ができない、または確認はできるものの原因がわからず対策ができない、という場合で、更に他の住戸からは特に意見が上がらないと、管理組合の費用を使って調査するわけにはいかないだろうと判断するのが妥当です。どこまで費用がかかるかもわからないですし。

無論、困っている方のケアは必要なので会社で考えられる限りは対応するものの、管理会社も音を専門で取り扱うわけではありませんから、結局、調査も中途半端なものとなりがちですし、いずれにせよ原因がわからなければお手上げでしょう。

更に、管理会社は、管理会社の費用負担で調査するような義務や責任があるわけでもありません(理由は管理組合と管理会社の違いをお調べになってください、ここでは語りません)から、それ以上の対応を行うか否かは管理組合の判断になります。

ということを総合的に考えると、譲歩案として、原因が確認されれば管理組合が費用負担するものの、現時点では対応は行わない。大変心苦しいものの個人で調査いただきたい、というのは、落とし所としては妥当であろうと私は思っています。被害者側にとっては納得し難く、もっと寄り添ってほしい、全員敵か、と感じるその気持には、いたたまれないものはあるのですが、だからといって他に方法があるわけでもない、というところです。

こういったケースだと、管理会社は最大限歩み寄ってくれるはずです。頼っていただいて良いと思います。ただし、被害者側が非常に強い態度で、例えば「管理会社は何をやっているのか」「遅いぞ、あなた方は無能か」などという言葉を投げていると、管理会社は態度を硬化させて最終的に取り合ってくれなくなる可能性が高いです。これは、もともと、音の原因究明と解決は管理会社の業務の範囲ではないことが大きな原因です。味方にすべき人間は誰か、見誤らないように注意してください。

賃貸マンションの場合はオーナーの判断になります。ちょっとここは私の専門分野ではないので今ひとつ実務感がなく答えにくいんですが、まあダメなら引っ越すしかないんじゃないでしょうか。親身になって話を聞いてくれるオーナーも世の中には多いとは思いますから相談はされたほうがいいとは思います。

ただ、賃貸業も慈善事業ではないわけで、頻繁に人が入れ替わるならオーナーも考えるでしょうが、一人だけなら費用は使わずでていってもらったほうが得だと判断されるケースもあるんじゃないかなと思います。気にしているのが自分ひとりの場合で、隣家からは意見がない場合は特に、です。

それでストレスを抱えるなら身体にも悪いし、時間の無駄です。解決を求め戦うことは合理的ではないように私は思います。(ごく個人的な感想です)

確認事項②:音は客観的に判断して問題あるのか

音の原因がある程度わかったと仮定します。

今度は、音が客観的に見てどうか、ということを確認しましょう。

例えば、上階の生活音が原因である場合、被害者は「非常に大きな音」と言うわけですが、本当にそうでしょうか。

というか、数々の判例を見る限り、実は生活音が周囲住戸に影響を及ぼしていると認められた、つまり受忍限度を超えた例、というのはよほど特殊なケースしかないように私は思います。裁判例の確認については本職ではないのですが、少々足音が鳴っている、少々物を落とした、程度であれば、「そもそもの話、集合住宅なんだから音なんて鳴って当たり前だろ。理解して住宅を選べ」とされたケースのほうが多いようです。

実体験だと、昼間に寝ている夜の仕事の方から「子供の足音がうるさくて眠れない、昼間とはいえ常識外。静かにさせてほしい」という例や、「午前9時からピアノを演奏している(管理規約では8時から演奏OK)のですがヘタッピで耳障り」という例がありました。いずれも解決は困難ですし、加害者側に落ち度はありません。

無論、集合住宅に住まうわけですから、加害者側も周囲住戸への配慮、歩み寄りは重要です。が、加害者側が悪く、被害者側が困っている、という図式は必ずしも当てはまらない、ということは常に頭の隅においてください。

そして、実際のところ、第三者が音を聞かなければ、その音がどうであるかというジャッジはできないと思います。

「私は被害者だ」と大きな顔をして主張する方がいますが、実は加害者とされている人のほうがよほど被害者だろう、というケースは往々にしてあります。その勘違いを正すのも、第三者(例えば管理会社)の大事な役割だと私は思っています。

確認事項③:音は対策可能か

設備的な対策については、音の専門会社もあることですから具体案はそういった専門会社に相談してください。

ここでは、特に人間関係面での対策について少し触れておきます。

とはいえ、つまるところ「冷静に誠実に、お互い歩み寄って話し合いましょう」という他ないのですけれど・・・。

人間が生活すれば必ず音は発生します。問題はその音を聞いた側がどう感じるか、です。

例えば、戸建住宅で、自分の子供が2階でドタドタしていてもさほど気にならないこともあるでしょうが、他人の子供が上階でドタバタしていれば「もうちょっと静かになるようしつけできねえのか、親は何やってんだ」と、なりやすいのです。

このケースでは、被害者側が管理会社にクレームを付け、案内書面だとか、連絡を入れる、という対応が多いと思います。

こういった対応で最もまずいのは、第三者である管理会社が被害者側の意見を鵜呑みにし、「静かにしてくれませんか」と加害者側に伝えることです。(被害者側も、管理会社を通じた対応を求めるケースが多々ありますが、問題を複雑化させるケースが多いので好ましくないと私は考えています)

せめて中学生になるくらいの年齢ならまだしも、例えば未就学児童に静かにしろと言って静かになるようなものでもありません。個人的な経験では、親はものすごく気を使っていることが多いです。ヒステリックにまで子供をどやしつけて叱りつけていることのほうがむしろ多いのです。そのうえでも、子供もテンション上がるとはしゃいで走り回ります。また、子供を叱りつければ良いと思っている親など少なく、のびのびと生活させたいと思っていて、その狭間でものすごく葛藤しています。

話をしていると涙を流す親御さんも少なくありません。気の弱い夫婦が、気の強い階下の住人におびえて生活している様を見たことも何度かあります。(私が立ち会うから階下の人と話し合いに行きましょうと言ったことも数回はあります)

管理会社の対応として(個人的に見ている中では)「弱い人に責任を押し付ける」事が少なくありません。これは単に、管理会社は「声を上げる人に指示されて行動する」という構造だからです。(これは致し方のない部分ではありますが、特に実務者はそれを理解しなければなりません)

文句を言う強い人のクレームをそのまま弱い人にぶつけて、その都度ガス抜きをして場を収めるやり方をしていることは実際よく行われています。それでひとまず場は収まるので管理会社はまあそれでいいかもしれませんが、それって正解でしょうか。

私も経験が浅い頃はこういったやり方をしていた(というかそれしか知らなかった)のですが、いろいろな事例をみる中で、どうやら、「言わないから困っていない」というわけではないのだな、ということに気が付きました。今は、「言わない人に負担を押し付けるやり方は好ましくないし個人的にも嫌いだ」と、割合はっきり言っています。

話が横道にそれましたが、加害者側、被害者側の意見をすり合わせ、冷静にできることを一つ一つ考えていかなければなりません。地道な作業にはなりますが、とても大事なことです。

書面を作る際の注意事項

管理会社が注意書面を作成し掲示したりポストに配付するのは、実際に全国のマンションでよく行われている対応です。

が、これはものすごく注意するべきです。書面は安易に配付すべきでない、というか、注意書面を配付して好転するケースはほとんどないので、むしろやらないほうが良い、と私は考えています。

大きな理由として、注意書面の配付は被害者側の「やってみた」という自己満足、つまりガス抜きにしかなっていないからです。

多くの例において、多数に向けた案内が特定の個人の意識に届くことはありません。仮に「私のことかな?」と思ったとしても、何をどう気をつければよいのかもわからないので、疑いつつも日常生活を続けるしかないのです。実際のところ、数日は多少気にする程度、でしょう。

一方、マイナス面については明確です。書面を配付したり掲示するということは、無関係な多数の人間がそれを目にするということです。マンション内で疑心暗鬼を生み、不必要に混乱と疑念を巻き起こすことになります。本来は注意して生活する必要のなかった人間にも負担をかけることのほうが多いはずです。

それが原因で見当違いのうわさが発生した、という事例もあります。管理会社は、案外とこういった、マンションの内輪の動きが伝わりにくい存在です。管理会社の担当者はチラシを配ってそれで業務終了、くらいに軽く思っている事が多く、マンション内でどのような感情の動きが発生しているかに無頓着なのですが、それは無責任極まりない悪行だ、と私は考えています。

管理会社側の意見(分譲マンションに限定)

上下階のトラブルを防ぐために管理会社等の第三者を通して音の出し主に連絡をしたほうがいい、と考える方は多いですが、個人的な経験から判断するに、これはむしろ間違いであると指摘します。

第三者を通すがゆえに被害者側の感情が伝わらないことがあり、加害者側の態度が硬化するケースが多々見られるからです。

最善は、菓子折りを持って「お願い」に伺うことです。それで「文句を言われた」と思う人は少ないです。

一方で、管理会社は事務的な情報しか伝えませんし、別に丁寧にお願いにあがるわけではありません。電話で済ませるケースのほうが圧倒的に多いでしょう。言われた側は「文句を言われた」と認識するのも無理ないことです。

管理会社の本業は、マンションの維持運営であり、特に会計・出納・設備の維持保全が主となります。

一般的に、契約書には上下階の生活トラブル、つまり生活音の仲裁を解決する窓口を担当するような文言は登場しません。なので、行き届いた管理会社や、優秀な担当者であればあるほど「ご自身で解決してください」を丁寧に伝えてくるはずです。

とは言いながらも、上下階の生活音トラブルはマンションとは切っても切り離せず、また、管理会社は第三者のプロとしてマンションに関わるわけですから、本来無関係を貫くべきであることは重々承知していながらも、現場担当者の裁量の中で解決に導くべく裏で動いていることは珍しくないだろうとは思います。

もし、分譲マンションの管理会社に上下階の生活音トラブルについてご相談なさる際は、丁寧に冷静に、そして誠実に話し合っていただければと思います。優秀な担当であればあるほど、無茶を通そうとしていると感じれば即座に態度を硬化させ対応を断ってくると思います。これは、単に態度がムカつくからとかそういうことではなくて、経験上、管理会社に対し、「上の人間を静かにさせろ」と過度に要求するタイプの人間の話を真に受けると終わりのないトラブルに巻き込まれる可能性が高いと理解しているからです。

改めて言いますが、生活音が受忍限度を超えると客観的に判断されるケースは極めて稀です。一人だけではなく、周囲住戸複数の方からの申し出があるくらいでなければ難しいと考えたほうが良いのです。

そのような背景から、確率で言えば、むしろ無茶を言っているのは被害者側であることのほうが多いです。上の階に対して「うるさい」と言うのと同じくらい、下の階に対して「我慢しろ」を要求される可能性がある、ということは理解したほうが良いと思います。

で、じゃあ管理会社は何をするのか、ということなのですが。

私の実例を紹介すると、書面や直接連絡は、よほどでなければしません。対象の住戸がヤバい人、ということでもない限り、隠れてコソコソ第三者の口を通して意見を言うな、恥ずかしいと思え、と私は思っております。

ただし、「○○号室の方に孫が来ていてここのところ音が激しいのです。なんとかするよう言ってもらえませんか」など、明確に理由があってそれが妥当だと判断したた場合には「あなたから連絡があったことも含めそのまま伝えますが、それが原因でトラブルとなるケースも少なくありません。事情は先方もご理解なさるでしょうから、直接お話になられたほうが双方良い方向に落ち着く確率が高いと私は思います。どうしてもとおっしゃるのであればお手伝いの範囲で連絡はしますが、トラブルとなっても責任は持ちません」と答えて、了承があればそのとおり伝えます。もちろん名前もバッチリ伝えます。

なので一応【協力】はします(なにもしなければしないで、あの担当は何もしなかった、と変に噂が立ってもそれはそれで私が困ります)が「全面的に任せるのでキミが解決せよ、無論トラブルになるようなことがればキミに責任を求める」みたいな投げっぱなしであれば、はっきりと断っています。

「トラブルになるのが嫌だから管理会社に連絡しているんじゃないか、お前らプロだろ」という意見も聞きますが、そのあたりはこのページに書いたことをよくよく説明して差し上げて理解していただいています。

最終的に、被害者、加害者、私、3者で面談の機会を設けることもあります。どちらかというと私はこのケースが多く、マンションの集会室や管理員室で直接あって話をします。仕切ることは基本的にはしませんが、第三者がいれば冷静に話し合えることもあるでしょう。そこのあたりについては管理会社の価値だと考えています。

とはいえ、いずれにせよ、それらはすべて業務の範囲ではないので、あまりに手を取られるようなことは避けたいのです。理由は単純で、生活トラブルを解決したからって、住人はそれを当然だと思っていて、お金払うとは言わないからです。

別段、それで費用を請求するつもりはないのですが、生活音の上下階トラブルの解決を管理会社に求めるということは、契約外で業務外のことを要求していて、あまつさえタダで働かせようとしている、ということは理解した上で管理会社の担当者と接したほうがいいと思います。

「管理会社さんにはお金払っているんですからちゃんと仕事してもらわないと困りますよ」ってよく聞きますが、契約関係をよく理解している、経験と知識のある管理会社の担当者なら鼻で笑っています。上からいくのはおやめになったほうがよろしいかと思います。

ちなみに、対応にかかる人件費、そして経験値からくる技術料を考慮して値付けすると、5万~10万は請求しないと割に合わないのですが、払えますか?私はそれだけの価値を提供しているつもりです。

はじめちゃん!
はじめちゃん!
賃貸マンションの場合はオーナーや管理会社の考え方、つまり運営方針によって個性が出る可能性があります。ガンガン介入してくるタイプの大家さんもいるかもしれません。そちらについては私は実務として存じ上げませんので、ここで書いたことはあくまでも分譲マンションの管理会社に務める私の実務経験による感覚である、ということを改めて強くお伝えしておきます。他の分譲マンションの管理会社でも、別の対応をしていることもあるとは思います

おわり

菓子折りをもって丁寧にお願いに上がる、というのは解決の第一歩だと私は思いますが、世の中にはいろんな方がいます。音がうるさいと言われた、と逆上するタイプの方もいます。世の中にはそれで大きなトラブルになっている(傷害事件もあります)ケースもありますから、あまり無責任なことも言えないのですけれど、私としては、一般の近所付き合いの中で丁寧に双方が話し合う場を設けることはすごく大事だと思っています。

上下階の生活音トラブルは、集合住宅とは切っても切れません。

今は何も気にしていないから私は大丈夫、と思っていても、上下階の生活がたまたま悪い方向で噛み合えば、一気に悩まされることもありえます。他人事ではありません。

ちなみに、判例を見る限り、上階がうるさいからと多大な手間をかけて裁判をしたとして、そしてそれが認められたとしても、慰謝料的なものはわずか数万~数十万のようです。

裁判で争い勝った、という実績が開放されることに魅力を覚えず、精神的苦痛から開放されたい、というのであれば、引っ越しを考えるしかないのかもしれません。

過去の経験でも、被害者側が引っ越したことで解決したケースは多いです。特に、一般の感性からしても音に敏感な方は、相当注意したうえで、引っ越しも最終的な視野にいれて住宅を選んだ方が良いと私は思います。

参考文献

音に関する調査会社さんのサイト(だと思う)のですが、判例がたくさん載っています。ざっと見てみると良いと思います。

https://www.skklab.com/lawsuit_and_judicial_precedent

検索すると、弁護士が解説した資料もいくつか出てくると思います。お調べになってみてください。

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/2級建設業経理士/二級建築士/1級船舶免許

POSTED COMMENT

  1. アバター 裏方理事長14回目 より:

    最善は、菓子折りを持って「お願い」に伺うことです。

    まったくその通りだと思います。

    住民側でいろいろと解決した事例。
    https://rijichonotsuma.blog.fc2.com/blog-entry-537.html

    このくらいの小世帯のマンションで
    理事長の妻さんのような方がいれば...

  2. 人間関係のことになるので難しいんですよね。
    理事長や管理会社といった第三者がそこに介入することも、めちゃくちゃ慎重にならないといけないことだと思います。
    管理会社はまだいいですが、それが原因で理事長にトラブルの責任をおっかぶせられるケースもあり得るので、、、

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