総会

マンション管理組合総会での、委任状の取り扱い

委任状の取り扱いについての、基本的な考え方をお話します。

ここでは、「一般的なマンションの取り決め」に沿ってお話しています。
つまり、標準管理規約に沿って管理規約が設定されているマンションを対象としています。

ですから、独自のルールを設定しているマンションの場合は、ここに書いた事項が当てはまらない場合があります。
実際には、ご自身のマンションの管理規約をよくお読みになるとともに、疑義がある場合は専門家にご相談なさってください。

委任状があれば、誰にでも委任できる?

標準管理規約によると、委任のルールは以下のように取り決められています。

標準管理規約 第45条 第5項

組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その
理人は
、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同
様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
他の組合員

このように、かなりせまいです。
ですから、例えば弁護士さんであろうと委任できません。

一親等とは:「本人の父母と子および子の配偶者。また,本人の配偶者の父母」を指します。

総会はマンションのことを話し合う場ですから、少なからずマンションのことを理解していないと建設的な話し合いができませんよね?
委任先の範囲を、マンションに近い方だけに狭めることで「全くマンションに関係がない」方への委任ができないようにしています。

区分所有者「本人」が参加しない場合は、必ず委任状が必要

「区分所有者は世帯主(ご主人さん)」として登録しておいて、実際に総会へ出席するのは配偶者(奥さん)の場合。
この場合、慣例的に「世帯主が出席する」と通知して、「世帯主の名前で議決権を行使する」のが一般的です。(つまり、配偶者を、世帯主が出席したこととして取り扱う)

実際に多くのマンションで行われていると思いますが、ルール的にはすごく問題というか、アウトです。認められません。
正式には、「代理人を配偶者と指名した、区分所有者本人の署名がされた委任状の提出」が必要です。

代理人の記載のない、いわゆる「白紙委任状」の取扱い

委任状では、代理人を次のように定めているケースが多いです。

  1. 他の組合員
  2. 総会議長

1か2、「どちらかを指名してくださいね」と案内します。

実務的によくあるのが、「代理人の指定をせずに、署名捺印だけして委任状を提出される」ケースです。
これを、「白紙委任状」と呼んでいます。

代理人が不明であることを理由に無効としてしまうと、総会の運営そのものに影響が出ます。(出席者の定数が不足する可能性があります)
ですから、それを回避するため、補足事項として「代理人の指名がない場合は、議長に委任したものとみなす」という趣旨の一文が追加されているケースが多いです。

このように、代理人の氏名のない白紙委任状は、マンションの総会では「議長に委任」として扱われるケースが多いです。

国土交通省の見解は?

ちなみに、国土交通省は、以下のようにおっしゃっておられます。

代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委
任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効
力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、その
ようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、
委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定するこ
とが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせ
ず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること
等について記載しておくことが考えられる。

マンション標準管理規約(単棟型)コメント31ページ より抜粋 

「議長委任」の取り扱い

「議長に委任する」とされた委任状の取り扱いは、次の3つの方法があります。 

  1. 議長の判断で票を入れる
  2. 出席者の多数決で、多い方にすべて入れる
  3. 出席者の割合にあわせて振り分ける

ちなみに、ほとんどのマンション・管理会社では、1の方法(議長の判断で票を入れる)を採用しているのではないかな、と思います。
(違ってたらスミマセン)

標準管理規約では、議長委任の取り扱いについては触れていません。
どれが正解か? ではなくて、「どの方法を採用するかを、予め決めておきましょう」というお話です。
もちろん、管理規約で決めておいたほうがよろしいでしょうと思いますが、現実は、管理組合(ないしは管理会社)の考え方で議長委任は取り扱われていると思われます。

以下で、3つの方法について詳しく方法をご説明します。

議長の判断で票を入れる

議長に委任されているので、「議長が票をお好きに投票」する。
私が知る限り、これが一般的なケースです。

メリットとしては「すごくわかりやすい」こと。

デメリットは、「公平ではない」こと。

議長(一般的には理事長)は総会議案の起案者です。なので、通常は、議案に賛成の立場である(はずの)方です。
ですから、多くの場合、委任状は賛成に投票されることとなります。

すると、いくら他の方が「議案に反対」との意見を持っていたとしても議案が可決される見込みが非常に高くなってしまい、議長である理事長の独裁マンションになりかねません。

出席者の多数決で、多い方にすべて入れる

例えば、「出席10名、委任状10名」だったとします。
出席者10名のうち、「4名が賛成・6名が反対」とすると、「委任状10名は、出席者の意見に従い反対票にすべて投票する」、というやりかたです。

「総会の議長」とは、総会を取り仕切る役目の方。
その議長に票を委任するということは、議長本人の考え方に委任したのではなく、総会の場(ひいては出席者)に委任した、と考えられます。

ですから、「委任状は出席者の意見にあわせて取り扱う」とすればマンション全体の運営にとって素直で、議長の独裁も防げますよね。

出席者の割合にあわせて振り分ける

例えば、「出席10名、委任状10名」だったとします。
出席者10名のうち、「4名が賛成・6名が反対」とすると、「委任状10名は、4名が賛成・6名が反対に振り分ける」というやりかたです。

「出席者の多数決で、多い方にすべて入れる」と考え方は同じですが、こちらのほうがより実情の意見に合わせたやり方ですね。

はじめちゃん
はじめちゃん
 集計が大変で、エクセル必須です。
このやり方を採用しているマンションってあるのかな~?

「議長に委任する」と、「理事長である○○氏に委任する」の違い

議長とは、総会を取り仕切る存在です。円滑に総会が進むよう管理する役目があり、審議に対して公平であらねばなりません。

対して、理事長は、管理組合を代表する立場です。
が、投票に対する1票は他の組合員と同じように持っていますし、同時に個人の考え方も尊重されるべきです。

多くの場合、理事長が議長を務めることとなりますので、実務面では同じとして扱うケースも少なくないのですが、本来は別です。ご注意。

(昔の管理規約は少し違ったのですが)最新の管理規約によると、

「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する」

とされています。
この「出席組合員」の中には、理事長も含まれます。理事長を含めて、過半の賛成が得られなければ、否決となります。

ちなみに、昔の管理規約では、「可否同数の場合は議長が決める」になっていました。

さて、議長に委任する場合と、理事長に委任する場合の違いですが。

議長に委任する場合

議長は誰が務めるのか? それは多くの場合、理事長です。

では、「理事長に委任する」と、「議長に委任する」は同じと扱ってよいのかというと、運営方法によって少し差があります。

前項でお話ししました、「委任状を、議長の判断で票を入れる」として取り扱うのであれば、理事長に委任すると同義です。(理事長が議長にならない場合は別ですけどね~)

しかし、「出席者の賛否によって票を入れる」場合は、前項のように、出席者の意向にあわせて、賛成・反対の投票をしないといけません。

理事長に委任する場合

通常、委任状には「理事長に委任する」という欄は設けません。
それでもあえて、「理事長に委任する」という意思表明をされるのであれば、「理事長個人に委任した」と理解し、理事長の票に委任者の票を加算すればよいでしょう。

前述の「出席者の判断によって票を入れる」場合でも、「議長委任」とは切り離し、理事長個人の独自の判断で投票を認めて良いです。

理事長は議長となり、そして議長は議案に賛成の立場であることが多いです。
実務的には、委任状は、ほとんど自動的に賛成として数えられるケースが多いですが、考え方としての使い分けはしておいたほうがよいでしょうね。

委任状は指定様式を使わなければならない?

マンションの総会を開催する際は、運営側から、議案を記した資料(いわゆる議案書)とともに、「出欠の確認を行う用紙」が届きます。

ここで、

  • 当日、出席するか否か
  • 欠席する場合は、議決権をどのように行使するか

ということを、予め通知します。

この指定用紙を使う必要があるか否か、ですが、管理規約に「別紙」として様式の指定があれば、その様式に従わないといけません。

逆に、指定がないのであれば、管理組合(ないしは管理会社)が作成した書式に従う必要はなく、組合員が独自に(というか勝手に)作成した書式でも、意味が通じるのであれば有効として数えざるを得ないのでは? という気がします。
とはいえ、実務的にはそんなの見たことがないので、怪訝な顔をされ、変人扱いされることになると思いますけど・・・。

特定の議案は委任、特定の議案には議決権を行使したい

一般的な指定様式を利用した場合に困るのが、このケースです。

例えば、第1号議案~第5号議案までは、議案を読んだうえで自分の気持ちがはっきりしたので議決権行使書を使い、賛成として議決権を行使したい。
第6号議案は、賛成とも反対とも言い難く、意思が表明し辛いので、総会参加者に任せたい。故に委任状を行使したい。

こういった場合、指定様式では対応できない場合があります。
なぜなら、指定様式では、「第6号議案のみ委任します」という欄がないからです。

そういう場合、手書きで、議決権行使欄に「第6号議案のみ委任します」と書けばよいでしょうが、現実はどうでしょう?
集計をする担当者の考え方、受け取り方によっては、無効票として扱われたりしているかもしれません。

本来は、議案ごとに集計をするのが正しい、かつ丁寧だろう、とは思いますが・・・。

1票で賛否が変わることはそうそう無いとは思いますが、事前に取り扱いを決めていないと、扱い方によっては大変危険です。(トラブルの種ですので注意)

おわりに

マンション総会のルールは、株主総会や自治会総会、ルールと似ているところがありますが、違うところもあります。

前提として、ここで記載した事項は、「マンションによって違うルールも設定可能」です。

常に正しいわけではありません。
区分所有法や、ご自身のマンションの管理規約などのルールが記載された資料をよくお読みになるとともに、専門家のアドバイスを受けた上で判断してください。

大切なこと【追記】

管理規約に沿って総会運営がなされているか、は、とても大切なことです。

なのですが、例えばルールとは違う運用がされていたとして、ではそれが直ちに間違いであり無効か、というと、それもちょっとどうなのかなーという気はします。

過去の決議状況や、明文化されていない住民の認識を総合的に勘案し、慎重かつ丁寧に判断しなければ、いろいろと見誤るかもしれません。

ルールとは、住人を縛るためのものではありません。
よりよく住まうために、皆が尊重し、知恵を絞り、改良を加えてゆくもの・・・、だと思います。

法とルール、上手に付き合ってゆきたいものです。

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/建築業計理士二級/二級建築士/1級船舶免許

POSTED COMMENT

  1. 新米理事長 より:

    総会の委任状が規約と相違していたのを発見しました。規約では『代理人は組合員と同居する成人の親族』だけですが、管理会社が配布していた委任状には、他の組合員を指名する蘭があり、その内に議長もありました。今までの総会は有効に成立していたのか心配です。今後は理事会できっちり点検していこうと考えています。

  2. >新米理事長 さん
    おや、、、それは珍しいですね~。
    それだと委任状がほぼ機能しないことになってるのでは・・・。

    ちょっと思ったことを、最後に追記しました!
    大きな声で「今までのやり方がおかしい!」と、皆さんの不安を煽る結果になってしまえば関係がギクシャクするかもしれません!
    いらぬお世話だとは思いますが、、、取り扱いにはご注意を~!

  3. 器用人 より:

     白紙委任状がないと、管理会社は困ってしまいますね。 総会の際の白紙委任状の取扱いこそ、諸悪の根源で、ここで議長委任の奥の手を使えば、総会など何の意味もありません。
     議長は一票のみで、「親の総どり」はありません。

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