多くのマンションでは、廊下に塩ビ製のシートが張られています。「長尺シート」とも呼ばれています。
塩ビ製シートは、コンクリートのむき出しの床に比べ、防滑性・美観性にすぐれています。が、反面、汚れが目立ちやすいです。エンボス加工(デコボコ加工)がしてあるシートで、色が濃ければまだ目立ちにくいのですが、デコボコがないシートだとか、あと、明るい色のシートは、特に汚れが目立ちます。
残念ですよね。
廊下部分は、一般的には年に数回、専門業者によるポリッシャー(円盤状のタワシがぐるぐる回る機械)で掃除をしますので、極端に汚れが進むことはありません。が、専門業者でなければこの機械は買えません。(大きいし高いので)
今回は、「特別な道具がなくても出来る掃除」のお話です。
目次
床シート掃除に利用する洗剤は何が良いか?
結論として、「家庭用の台所用中性洗剤で十分だろう」、と私は思っています。何故かというと、比べてみたらそんなにかわらなかったからです。
今回、比較のため床シートの掃除に使った洗剤は4種類
- 水のみ
- 台所用中性洗剤
- 研磨剤入り洗剤
- アルカリ性洗剤
- 専用床クリーナー
上記の条件で比較しました。すべてホームセンターで容易に手に入るものです。
今回は、実施の前後で違いをわかりやすくするために、テープで区切ってその部分のみを掃除しています。
ちなみに、アルカリ洗剤はリンレイの床用洗剤を使用しています。写真ではペットボトルにいれていますが、製品の指定通り、既に100倍希釈をしています。
マンション床シート掃除の方法
1.濡らす
表面の汚れをとるためホウキで細かいごみをとったのち、水で流して汚れを洗い流します。
今回は、範囲が狭いのでペットボトルで水を流しただけです。
2.洗剤をなじませる
汚れを取りやすくするため、床面に洗剤をつけてしばらく放置します。
今回は、5分程度放置しました。
3.こする
汚れを取ります。
今回はテストなのでタワシを使っています。範囲が狭いので問題はありませんでした。実際には範囲が広くなりますから、デッキブラシ等の柄の長いもののほうが腰が痛くなりにくいので使い勝手が良いと思います。
4.洗剤をとる
今回は狭いので、洗剤は全部雑巾で拭きとりできました。(洗剤が床材に与える影響がわからなかったからでもあります) 多量の水が流せる環境なら、バーっと水を流してしまってよいでしょう。
ベランダで清掃をする際は、排水溝を通じてお隣に排水が流れ込むがあり、トラブルにつながるケースが多々あります。事前に声をかけておく、雑巾でせき止めるなど、十分に配慮をお願いします。
5.できあがり
テープをはがすと、
こんなかんじ。清掃箇所だけ、真っ白になっていますね。
シートの掃除をやってみた所感
水でこすっただけだと、ほとんど汚れは取れないです。多少キレイにはなったかな・・・、という程度。あまり効果はないと考えたほうが良いでしょう。
モップや雑巾で拭き掃除をする場合も、このくらいの仕上がりです。表面の泥汚れは取れますが、汚れが取れるわけではありません。
洗剤ごとの効果
効果は、
- 水のみ
- 台所中性洗剤
- 研磨剤入り洗剤
- アルカリ性洗剤
- 専用床クリーナー
の、順番でした。写真では、イマイチ違いがわからないですけれど・・・。
ただ、実物も、2と5の間にはほとんど差はありませんでした。「見比べれば確かに違う」という程度で、仕上がりの満足度からいうと、さほど変わらないです。
それと、思いのほかジフが頑張らないことに驚きました。研磨剤が入っているので、かなりきれいになるのだろう、と思っていたのですが、そうではないようです。
結論「シートの掃除は中性洗剤で十分」
結論として、「シートの掃除は中性洗剤で十分」かな、と思いました。差がないので。特に、後の処理を考えると中性が無難かなとも思います。アルカリ性の洗剤だと、シートはともかくとしても、側溝の塗膜防水や、雨水パイプにどんな影響があるのかいまひとつ不明瞭ですから、使う場合は、しっかりと洗剤を水で流すことを徹底しなければなりません。
(バケツ程度だと間に合わないと思います。ホースからの散水がベスト。ここは自己責任でお願いします)
マンションのベランダの床シートを掃除する場合の注意点
ベランダなら範囲もそれほど広くないので、半日で片付く程度かなと思います。が、マンションなので、特有の注意が必要です。
周囲に注意
管理会社で「あるある」の話なのですが、「上から水が降ってきた」系の苦情はよくあります。「干していた洗濯ものが濡れた」だとか、「道を歩いていると濡れた」という話はよく聞きます。
あと、マンションのベランダは、お隣さんと続きになっていることが多いです。なので、側溝(水を流す溝)や排水口も、共通のものを使っています。ベランダで水と洗剤を使うと、お隣さんに水や洗剤が流れてしまうので、「一声かける+雑巾などでガードする」はしておいたほうがいいです。
管理規約に注意
分譲マンションの場合、管理規約に「ベランダで多量の水を流さない」みたいなことが書いてある場合があります。ご自身のマンションの規約に照らし合わせてください。わからなければ、ご自身のマンションの管理会社や管理組合へお問い合わせを。
継ぎ目に注意
シートには継ぎ目があります。継ぎ目は、シート専用の継ぎ目充填剤をつかっている(溶接しています)ので、通常、そうそうとれたりしないのですが、何度も何度も無理な力をかけてゴシゴシやっていると、取れることがあります。
継ぎ目はやさしく、できれば、掃除ではあまり触らないほうがよろしいです。なお、施工状況によっては、継ぎ目がないかもしれません。その場合は、エアコン排水用のレールがあると思います。これも同様にやさしくしてあげてください。
画面中央の、レールが「ドレンレール」です。
別の方法:高圧洗浄機を使う
機械を買う、という前提であれば、高圧洗浄機を使う方法もありますね。
↓の動画が、長尺シート+側溝はウレタン塗膜防水の、「よくあるマンションの仕上げ」です。きれいになってますね~。
ケルヒャーの高圧洗浄機ですね。ただこれ、どれだけ注意しても水が飛ばないわけがないのでご注意ください。動画のように、壁がコンクリート製なら問題ありませんが、アルミ製で隙間がある場合は、階下に水が飛び出してしまいます。
おまけ:これを管理員に指示するのは酷
管理員さんから、「廊下がきれいにならん」という話があって、いろいろやってみた、という話でした。が、これは日常業務の範疇ではほぼ不可能と判断しました。部分的な清掃なら不可能というわけではないですが、全面となるとキリがなく、他の業務に支障が出ます。
結論としては、掃き掃除以上の清掃は管理会社の対応範囲ではなく、清掃業者による機械洗浄をやるしかないと思います。