総会

マンション総会での決議を取り消し(変更)する場合は、理事会単独ではできない

マンションの総会で決まったことを実行する中で、当初は想定していなかったハプニングにより実行が難しくなり、結果として、総会決議を取りやめたい、あるいは、変更したい。

この場合は、改めて総会を開催し、『過去に決まったことを変更する』総会の決議が必要です。
理事会や、あるいは理事長の判断では、総会の決議をナシにする、もしくは違った行動をすることはできません。

総会で決まったことを『実行しない』という判断を理事会が行うことは、実務的にはやってるところもあるんじゃないかなーって思うのですが、本来は適切な手続きが必要ですよ~。

決議を取り消す場合の流れ

  1. 問題発生
  2. 解決できないか協議(理事会で相談)
  3. 解決できないと判断した場合は、その旨を組合員へ周知
  4. 総会を開催し、以前の総会決議を変更する議案を審議

といった具合です。

実務的には、総会の決議事項を進める中で新たな事実が判明し、総会決議の通りに進めることができなくなった(あるいは、別の良い方法が見つかった)ということは、よくあると言わないまでも、ないことではありません。

この場合、それを話し合っている当事者(理事会メンバー)は、総会の決議を実行しなかった理由や原因はよく理解しています。
が、他の区分所有者は、そうは思っていません。

できるだけ早期に、実施の中断を判断した旨と、そうならざるを得ない理由を広報しておくと、他の住人さんも安心されるかと思います。

理事会の権限(できること)

なぜ理事会の単独で総会の決議内容を覆すことができないのか、という話ですが、これは総会と理事会の関係にあります。

マンションでは、総会を『マンションの最高意思決定機関』と位置づけています。
総会で決まったことを実行するのが理事会の役目です。

なので、総会で決まったことを『実行しない』という判断を下すのも総会の決議であるべき、という考え方です。


標準管理規約では、理事会の仕事を、以下のように設定しています。

第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。

  • 一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
  • 二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
  • 三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
  • 四 その他の総会提出議案
  • 五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
  • 六 第58条第3項に定める承認又は不承認
  • 七 第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
  • 八 第67条に定める勧告又は指示等
  • 九 総会から付託された事項
  • 十 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
    • 2 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合においては、当決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。

このように、総会から付託された事項を実行するのが理事会の役目であって、その範囲はあくまでも総会で決まったことに限定されます。

総会決議を実行できない理由があり、総会を開催できないときは?

ベースの考えとしては、『総会決議のあった』事項は、区分所有者の全員が『実施されるのが当然と考えている』という認識のもと、丁寧に進めることです。

「理事会で話し合った結果、やっぱりやめました!」では、総会という存在の決定に対して、あまりに不誠実ですよね。

とはいえ、

『総会決議を覆す総会を行うための時間的な余裕が無いので、不利だとわかっていたけどしぶしぶやりました!仕方ないですよね!』

となれば、それはそれで問題です。

もちろん、「そうならないように、総会での決議は予め十分に吟味しましょうね」と言われればそれまでなのですけれど、なっちゃったもんは仕方ないですし、その時その時で最善を尽くすしか無いのかな、と。

杓子定規に、決まりごと通り進まないこともありますが、最も重要なことは「それがマンションのためになるのか?」という視点だろうと思います。

当然ですが、規約違反を推奨しているわけではありません。
臨機応変に最善を尽くしましょう、という話です。

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/2級建設業経理士/二級建築士/1級船舶免許

POSTED COMMENT

  1. アバター たまちゃん より:

    マンションの総会で決まったことは取り消せないと言われました。コロナ禍で総会に参加できずよくわからないまま通信カラオケの購入や防音ドアの工事が決まっていて今住人による反対運動が始まってます。管理会社は総会で決まった事は実行しなくてならないから取り消せないといいます。本当でしょうか?

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