大規模修繕工事

【大規模修繕工事】代替駐車場の運用について

マンションでは、「大規模修繕工事」と呼ばれる修繕工事を、12~15年周期で行います。

「大規模修繕工事」とは、主に外壁の塗装を行う工事です。

足場をかけて、ネットで覆っているマンションを見たことありませんか?

この工事の期間中は、駐車場に停めている車の移動が必要となることがあります。

駐車場の移動についてのお話です。

なぜ、移動の必要があるのか

工事の際、マンションを足場で覆うことになります。
車と足場が重なってしまった場合に、移動が必要となります。

その他にも、資材置き場・手洗い場・現場事務所・仮設トイレ、をマンションの敷地に設置するためのスペースも用意する必要があり、駐車場スペースのいくつかを潰すことになります。

どのくらいの車の移動が必要なのか、は、マンションの建て方にもよりますので、一概には言えません。完全にマンションによりけりです。

例えば、マンションの1階が駐車場になっていて、屋根付きの部分が沢山あるようなら、移動は多いと思います。(足場と重なる部分が多いからです)

逆に、マンションの建物とは離れた部分に駐車場があれば関係ありませんので、ほとんど移動は必要ないと思います。(足場とはほとんど重ならないからです)

どの区画が移動しなければならないかを知るためには?

工事の前には、施工業者が「仮設計画」という予定表を提出します。

足場をどのようにかけて、そしてどの区画の車の移動が必要か、が書かれています。

早ければ、見積もり段階で確認することができます。事前にチェックしておきましょう。

車の移動先

移動先として考えられるのは、

  • マンション敷地内の空き区画
  • 敷地外の駐車場

です。

敷地内に空き区画が潤沢にある物件は、ほとんどありません。
(あったらあったで問題ですしね)

ですから、多くのマンションでは、敷地外で駐車場を探すことになります。

代替駐車場は誰が探す?

一般的には、工事業者が探すことになります。

工事の見積もりの際は、「マンションから●メートル以内の駐車場を●台確保すること」
と、指定を行うことで、予め費用を見込んでいます。

もちろん、業者に依頼せず管理組合が探してもよいのですが、『探す+駐車場の契約』には、それなりの労力がかかります。

やってみると意外と大変ですよ。
工事前になって予定していた駐車場が使えなくなるケースや、指定した場所に不満が出た場合の対応、などのリスクもあります。

組合で探すことは、おすすめできません。
駐車場さがしは、業者にしてもらったほうがいいでしょう。

駐車場を組合が探して得る金額メリットなど、全体から見ると微々たるものです。
あえて、諸々のコストを管理組合がかぶる必要は無いでしょう。

マンション周辺の駐車場の探し方マンション運営の中で、「マンションの周辺で駐車場を探さないといけない」という機会に遭遇したことはありませんか? よくあるのは、大規模修...

代替駐車場の費用は誰が出す?

工事は、管理組合の事業です。
よって、代替駐車場の費用は、管理組合が支払ます。

契約者個人が移動する先の駐車場料金を支払うケースは、よほど特殊な事情がなければ無いと思います。(私は経験したことがありません)

工事会社は駐車場料金を負担しない?

「工事会社がサービスで用意すればいいじゃないか」というご意見を聞くこともあります。
管理組合がそう望まれるのであれば、それでも構いません。

業者へ、そのような見積もりを指定すれば良いと思います。

しかし。
工事にかかった費用は、最終的には請求されることになります。

サービスと言っても、本当に無料で用意するわけではありません
『駐車場料金』として請求されるか、『諸経費』として請求されるかの違いだけでしょう。

諸経費に含めた場合は、何にいくらかかったのかが、お互いにわからなくなります。
それよりは、しっかり何にいくらかかったのかがわかるように、項目を上げて請求をしてもらったほうがクリアです。

このような理由から、あえて工事会社に駐車場料金を負担させることに合理的な理由はないと判断します。

曖昧な見積もりは良くない

駐車場料金を業者負担とした場合、「結果的にいくらかかるか、見積もり段階では不透明」という状態で見積もりを依頼することになります。

その場合、丁寧な良い業者であるほど「高め」の見積もりを出すケースが多いです。

こうなってしまうと、見積もりの比較に弊害が出ます。

複数社の見積もりを比較した場合、曖昧な見積条件を出すと、丁寧な見積もりを作成している業者の方が「同じ条件なのに高い」見積となってしまうことがあり、結果として、良い業者を不当に省くことになってしまうかもしれません。

組合にとっては損ですよね。

駐車場料金は、管理組合が負担しなければなりません。
素直に支払うのがベストです。

代替駐車場に移動する期間は?

4ヶ月程度が一般的です。
(工事の内容や規模にもよりますが)

大規模修繕工事は、着工後、約1周間程度で足場を組み始めます。
この時点で、移動が始まります。
戻ってくるのは足場が外れたあとですから、工事が終わる頃です。

その期間が、約4ヶ月程度。

かなり長い期間、移動が必要だと覚悟する必要があります。

代替駐車場の距離は?

400メートル以内と指定することが多いです。

「400メートル」の距離感ですが、一般的には『徒歩5分程度』です。(歩くスピードにもよりますが)

これ、めちゃくちゃ遠いですよ。

言葉で聞く5分と、実際歩く400メートルとでは、感じ方が違います。

実際には400メートルのような遠い場所に決まることは少ないのですが、探してもない場合は本当にないので、仕方がないですね・・・。

駅が近く地価の高いような地域、住宅が密集した地域では、まとまった空き駐車場が見つからないこともあります。その場合は、もっと遠くになることもあります。

移動中の駐車料金は、誰が払う?

工事中は駐車場が使えなくなるのだから、「駐車場代は無料にしてくれるんでしょうね?」というご意見が届くことが多くあります。

これについては、いくつかの考え方があります。

  1. 確かに敷地内の駐車場は使えないものの、代わりの駐車場を用意しているのだから、無料にするのはおかしい。工事なんだから仕方がないでしょ、みんな大変なんだから我慢してよ。
  2. 敷地外の駐車場だと利便性は著しく下がっている。迷惑料を支払う。

どちらが正解か、という話は、個別に検討するしかないとは思います。

公平性の観点から考える

工事によって全員が同じ負担を強いられているか否か、が、ポイントです。

全員が敷地外へ移動している、というなら、特別に迷惑料を支払う必要はないものと判断します。

管理組合を運営しているのは、マンションの所有者です。
駐車場を利用しているマンションの所有者全員に返金をしたところで、それってつまり自分の財布にお金が戻ってきてるだけのことです。
みんなの財布へ平等にお金を戻すことに意味はないでしょう。

しかし、一部の居住者だけが敷地外に移動するのであれば、その不公平さは何らかの形で解消したほうがお互いスッキリしますよね。
工事なんだから我慢してよ、は、ちょっと通らないかなーと思います。
実際、我慢してない人もいるわけですし。
みんなのお金で行う事業ですから、可能な限り公平にする努力は必要です。

しかし、とはいえ物理的に完全な解消は望めません。
結果的には、迷惑料としていくらか支払うしかないかな、と私は思います。

もちろん、敷地外として用意した区画が、『マンションの隣地でしかも屋根付き』みたいな「得してません?」というケースでは、迷惑料を支払う必要はないでしょう。

不便さの度合いや、移動した方と移動していない方の不公平さを、「お金で解決するための補填」という考え方で、金額の大小は決めればよいかと思います。

いずれにせよ、あまり多くの補填は必要はないでしょうから、「移動した期間中は駐車場料金を無料にする」というあたりで手打ちにする、というケースが一般的かと思います。

なお、実務的には、引き落としの金額変更は何かとややこしいので、工事終了後にまとめて返金する、という形を取ることが多いです。

敷地外には、誰が移動する?

誰が移動するのか、について、決める方法は2つ。

  • 移動予定の区画利用者に移動していただく
  • 全体で抽選し、移動する人を選ぶ

一般的には、1です。

本来は、2を採用するのが最も公平でしょうが、いろいろと条件が大変で実現しません。

  • 誰がどこに移動するのかを決める、移動の手配に手間(コスト)がかかる
  • 移動がスムーズに行われなかった場合、混乱が生じる可能性あり
  • 移動する人数が多くなればなるだけ、連絡漏れのリスクが増大
  • 移動した方の駐車場料金の精算が細かく大変

など。

このように、トラブルの可能性が大きく、業者側は断ると思います。

コストが上がることも要因の一つではありますが、本質的には「責任を持って完了できない」というところに原因があります。

例えば、「全く連絡の取れない部屋がある」場合は困りませんか?
その方が移動しなければ、本来その区画を利用するはずの方が入れない、という移動結果となった場合、連絡がつかないけど移動はしてくれるのか、案内が届いていないのかが判断できません。結果として、スムーズな移動は難しいでしょう。

業者側では、そのリスクを負いきれません。

もちろん。組合側で采配をとるなら業者側は特に文句はありません。

が、そのようなコストを組合が抱える必要もないかとは思いますので、私はおすすめしません。(全員が顔見知りで良い人間関係が構成されており、インターホン越しに一言「移動よろしくね」で解決できるようなら大きな問題はないと思います)

 

どうしても移動が嫌だ、という方については、ご自身で駐車場を変わってくれる方を見つけていただくのが一番良いかと思います。

ただし、身体障害者の方や、妊婦さんなどは特別に配慮しましょう。
特に異論も出ないとは思います。

代替駐車場で、盗難や事故など、トラブルがあった場合は?

管理組合として、ものすごく頭の痛い問題がこれです。

前提条件として、マンション敷地内で発生した事故の責任は、管理組合では一切負いません。
(設備に不良があったなど、管理側に過失があった場合は別です)

敷地内であったとしても、管理組合には、車の管理責任はないのです。

それは、工事のために借りた区画で事故があった際も同じで、管理組合に責任はありません。

敷地内なら事故は起こらなかった。敷地内ならみんなの目があるから安心だったのに・・・。

という心情も理解できないではないのですが・・・。とはいえ、ご理解いただくしかないですね。
(どうしても理解できないなら、自分で納得できる駐車場を探していただくしかありません)

どのような理由があれ、管理組合では移動先の車の補償については、いっさい応じないのが通常です。

  • 盗難なら、盗んだ人が賠償する
  • 事故なら、事故を起こした人が賠償する
  • 自然災害なら、誰にも責任はない

ということになります。

確かに「移動してもらった」負い目もあるのですが・・・。
つらいところですね。

保険はかけられない?

「敷地外に移動していただくのだから、安心して移動していただくために保険をかけたい」
というご意見はごもっともなのですが、保険を適用するには条件がめちゃくちゃ厳しいです。

  • 24時間の監視(防犯カメラや、有人での常駐・巡回)が必要
  • 保険代が結構たかい

主にこの二点です。

通常、実現できる条件ではありません。

おわり

駐車場の移動は、大規模修繕工事の中で、居住者が「特に気にしている」ポイントの一つです。

普段、総会に出席しているのはだったので、駐車場の移動の条件も妻に説明していた。
しかし、実際に駐車場を利用しているのは夫で、移動の案内を出したときに凄まじいクレームを受けた、というのは、珍しい話でもありません。

車の移動は、工事にとってはさして重要なことではありませんが、比較的トラブルの多い部類の話です。

少し気合を入れて、よくよく事前に打ち合わせをされることをおすすめします。

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/建築業計理士二級/二級建築士/1級船舶免許

POSTED COMMENT

  1. 器用人 より:

     大規模修繕の代替駐車場問題は経験していませんが、建て替え前の自主管理の際、通常時でも駐車スペースが少なく、抽選時は殺気立っていたことを思い出します。 さらに、近隣に住む親族のための駐車場使用もあり、相当もめていたようです。 (その頃は戸建てに住んでいたため、駐車場問題に巻き込まれませんでした。)

  2. ひろくん より:

    一昨年、大規模修繕時にマンションの足場直下の駐車場15台程度、
    駐車場変更となりました。(4か月ぐらい)。来訪用駐車場を使ったり、2、3台分は敷地内に
    スペースを確保して対応しました。それでも3台不足したので
    外部駐車場を使用しました。業者と管理会社の連絡不足か、敷地内に確保した
    スペースに工事用のクレーン車が停まっていたりで、最初は難儀しましたが、
    なんとかトラブルも発生しませんでした。(住民同士では文句があったみたいです)。
    ちなみに、こちらは153世帯で1台目駐車場と2台目駐車場合わせて
    200台分ありますが、それでも2台目駐車場は足りないです。

  3. 器用人 より:

    大規模修繕時の駐車場には、極端な努力や工夫、費用を要する場合と、足場等の仮設工事が駐車場に影響しない場合、雲泥の差です。 大規模修繕工事では足場がいらないため、駐車場塗装はあきらめました。 そのため、塗装工事の際のカバーがけが必要でした。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA