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分譲マンション管理会社の戸あたり利益を比較すると野村さんが優勝した話

管理会社の情報は、マンション管理業協会というところが吸い上げています。

http://www.kanrikyo.or.jp/cgi-bin/memsearch/memsearch.cgi

それをこちらで確認することができます。ありがたいです。

機会があったので比較しました。

なお、スクレイピングとか高尚な技術がないので手打ちでパチパチしておりまして、ゆえに数字はコピペしています。間違ってるかもなので、なにかに使うならご自身でちゃんと確認してください。あと、最新の情報がまだ公開されていない企業がありましたので、それは前年度を入力しています。
(データを確認したのは2020年6月。もともと、企業によって決算時期が違うことから正確な比較はできないわけなので、混在しても影響ないかなとは思いますが)

営業利益率はアテにならない気がするので、戸あたり利益を見た

今回比較したかったのは、どの会社がどの程度儲かってるのか、という点です。

単純に、利益額が大きいから「良い」会社とも言えません。それは良いかどうかではなく「規模が大きい会社」という話です。(なぜなら売上規模が大きければ利益額も増えますから)

とはいえ、管理会社はストックビジネスなので、微妙に「規模=良い」と捉えてもさほど間違いではないのですけれど。

なので、一般企業の場合は利益率とかみたりするわけなのですが、管理会社の場合、その数字で比較してもアテにならんのではないか、と私は思っています。

理由は広告料ビジネスだから、です。

管理会社の場合、同じ100万円の工事売上でも、

  • 「売上200万円のうち、経費が100万かかったので利益は100万」
  • 「売上はゼロ。経費もゼロ。利益が100万」

 

この2つが混在しています。

これを本来、会計的にどう処理すべきなのかを私はよく知りませんが、うちの会社は(私が知る限り)売上ゼロの利益100万で処理をしています(のはずです)。なので、工事を自社受けしたケースよりも売上がかなり少なく計上されています。

別段、その会社の会計なわけですから、処理は別にどうだって構わないとは思うのですが。

問題は会社によってそれの扱いが違う、ということです。

広告料収入の多い会社とそうではない会社だと、同じ利益額でもトータルの売上規模が2~3割(?)くらい違う可能性があり、比較がいまいちできません。

では、何を見るべきかと言うと、私は『戸あたりの利益』だと思っています。これはわかりやすい指針になるはずです。(無論、ワンルーム主体の管理会社とファミリータイプ主体だと違いはでますが)

さて、御託はここまで。数字を見ましょう。

分譲マンション管理会社の戸あたり利益

なまえ 総合管理
(戸数)
部分管理
(戸数)
総合管理の割合 営業利益
(千円)
経常利益
(千円)
戸当りの営業利益
(円)
日本ハウズイング 448,774 0 100% 4,605,000 5,010,000 10,261
大京アステージ 428,633 0 100% 5,862,912 5,816,504 13,678
長谷工コミュニティ 275,084 67,758 80% 2,445,730 2,651,453 7,134
東急コミュニティ 338,581 270,072 56% 8,729,000 8,876,000 14,342
三菱地所コミュニティ 334,912 3,123 99% 3,170,000 3,237,534 9,378
大和ライフネクスト 265,512 0 100% 4,806,600 5,081,280 18,103
合人社計画研究所 204,652 0 100% 3,937,372 4,024,449 19,239
三井不動産レジデンシャルサービス 209,421 0 100% 2,642,403 2,763,535 12,618
住友不動産建物サービス 179,249 2,257 99% 1,720,211 1,400,187 9,477
野村不動産パートナーズ  159,784 6,712 96% 6,812,801 7,008,273 40,919
日本総合住生活 160,977 18,513 90% 4,921,773 5,063,318 27,421
コミュニティワン 163,916 21,203 89% 2,045,899 2,025,89 11,052
あなぶきハウジングサービス 118,668 438 100% 788,703 1,504,268 6,622
穴吹コミュニティ 107,889 418 100% 2,893,956 2,888,870 26,720
伊藤忠アーバンコミュニティ 106,908 5,882 95% 1,435,000 1,456,894 12,723
グローバルコミュニティ 95,107 32,695 74% 931,523 935,245 7,289
東京建物アメニティサポート 75,681 0 100% 421,572 524,200 5,570
近鉄住宅管理 64,747 7,529 90% 295,300 305,646 4,086
ナイスコミュニティー 63,130 2,204 97% 202,574 202,126 3,101
大成有楽不動産 57,560 13,270 81% 10,149,671 10,392,832 143,296
浪速管理 52,180 6,111 90% 27,292 34,742 468
レーベンコミュニティ 52,814 6,933 88% 499,921 571,972 8,367
日鉄コミュニティ 49,693 0 100% 452,687 463,422 9,110
ライフポート西洋 48,778 1,295 97% 265,939 276,495 5,311

※スマホの人は見にくいと思いますが、えっと、ごめんなさい。デカ画面でよろしくお願いしたいです。

※2020年度の数字がないものは、2019年度を入力。

※戸あたり営業利益:営業利益から、総合管理と部分管理を合計したものを割り算。

※そのため、部分管理の多い管理会社(東急コミュニティとか)は、おそらく不利。

※数値としてはでてないものの、ワンルームの受託が多い会社だと数字は不利。

※経常利益は参考に。例えばあなぶきハウジングサービスのように、営業利益と倍ほど違う会社もあるので。

※この手の情報は、連続して追いかけてこそ意味がある数字。本当に気になる方は、年度ごとの変化とかみるべき。

※数値は各会社の自己申告。嘘の申告があるとまでは思わないけれど、でも自己申告。(納税額と同じなのかなあ?)

※大成有楽不動産は、桁の入れ間違いか、管理業務以外の数字がバリバリ入ってる。

※大成有楽不動産を除き、合計して平均すると、戸あたりの平均利益は約1.2万。戸あたり月1000円。これを安いと見るか高いと見るかは人次第。

※ダントツは野村。これはもう、流石のブランディングと言ってよいのでは。

※逆のダントツは浪速管理。ただ、この額だとおそらく節税対策。(だって40億売上あって3000万しか利益ないってそんな・・・)事業への投資を色々してるとか、グループ会社の窓口になっているから利益はなくてもよくて数がほしいとか、何かあるはず。

※何気に輝く合人社。独立系バリバリのやり方で他を圧倒するこの数字、誇ってよいのでは?(私が合人社の経営層は甘くないだろうなと思ってるのはこのあたり。経営層かそれに近いポジションで仕事するなら、この会社はやりがいありそうだなあと思う。現場のソルジャーがどうかは知らない)

おわり

比較してどうですか、と言われると、野村さんすげーっす、くらいしか感想はありません。(実は細かくみていくとパズルゲームで色々わかったりしますが、まあそれはそれ。細かく中の人に聞くとかしないとよくわかんない、というのは実際のところ)

管理会社はストックビジネス。たとえ今は利益が少なくても、金儲けに走れば数字は案外と簡単に積み上がります。(実は値上げ交渉って、失敗するケースのほうが少ないのです)

管理会社は儲け過ぎだというお声もありますが、まあ言っても一人あたり月1000円とかなんで、石投げられるほど利益とってませんし、ていうかやる気ならもっとぶん取ってみせますが?というのは実感です。

ただ、儲けている物件と儲けていない物件の差は確かにあります。交渉ベタな、おとなしい組合に本来は当てられるべきだったリソースが、過剰に要求する組合に食われている構造は個人的にはどうかなあ、と思うことがないわけではありません。(お荷物組合はサクっと切らないとみんなのためにならない。過剰要求があるなら、その分のお金は請求しないとダメ)

ちなみに、売上の数字をしっかりとみておかないといけないのは、受託戸数が少ない(概ね5000戸以下くらいが目安)の管理会社です。1万超えるようならスケールメリットのちからで潰れることはまあないでしょうが、吹けば飛ぶような地場の企業の場合は、どうでしょう。一応見ておいたほうが心の準備ができていいかもしれません。

そんなところです。

いやあ、これ、10年前のデータとかと比較してみたいですね。(10年後も同じこと言っていると思います)

参考:管理会社の比較の話

管理会社の『満足度』ランキングって?(スムログから)

比較については、(ここよりも詳しく)上サイトで紹介されています。もともとこの表のアイデアもそっちのパクりです。

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/2級建設業経理士/二級建築士/1級船舶免許

POSTED COMMENT

  1. アバター 裏方理事長14回目 より:

    おもしろい記事をありがとうございます
    大成有楽不動産はたぶん計算を一桁間違っているかと
    14,329となるかと

    管理専業とやっているところと別の売り上げがある会社の比較は無理があるかと存じます
    管理専業(大部分が管理業)なら
    営業利益=管理委託費-再外注分-人件費等-諸経費
    になるのでしょうか?
    https://www.manegy.com/news/detail/659

    区分所有者としては一戸あたり月1,000円なら儲けていただいてOKです
    月2,000円はだめですね
    野村不動産パートナーズが管理業として月3,000円以上というのは許しません
    なんとなくリーズブルだなと感じるのは日本ハウジングですね
    いろいろと聞くに評判は悪くないです

    なお裏方マンションは全国区ではまったく無名な某管理会社です

  2. アバター 匿名 より:

    裏方マンションの管理委託会社の
    一戸当たりの営業利益は月773円と計算されました

    はるぶーさんブログにもよくコメを入れています

  3. こんにちは!
    >管理専業とやっているところと別の売り上げがある会社の比較は無理があるかと存じます。
    ご指摘の通りです。なので、あんまり真に受けないほうが良いとは思っております笑
    利益については、ざっくりそういう計算になるのかなとは思いますが、共通の指定会計フォーマットがあるわけではないですから内情は各社によるかと。
    どこまでを本業の利益と見ているかも、おそらく各社違うと思いますよ。

    ところで。
    素朴な疑問なのですか、月1000円なら良くてそれ以上はダメ、という認識は、何が基準になるのですか?(╹◡╹)

  4. アバター 裏方理事長14回目 より:

    企業成長率を3~5%程度を健全なものとして考えます
    営業利益率としては10%程度となります
    https://bcj-co.jp/keiei8/knowhow90.html

    それで
    日本ハウジング
    大京アステージ
    を参考にしました
    http://www.kanrikyo.or.jp/member/data/197912080.html
    http://www.kanrikyo.or.jp/member/data/197912052.html

    後付けではありますが
    そうやって質問されてから考えてみました

  5. これは多くの管理会社がそうなのですが、ここ数年は、売上と比較して利益の伸びが明らかに大きいです。
    (ご紹介の二社も顕著ですよね)
    これは血を吐きながらの値下げ競争が一旦は終息したことが大きな原因と見ています。

    利益は需給バランスで決まっていくという例にもれず、管理会社の価格もしっかり市場原理で決定されている(つまり消費者は賢い、、、というか実際は管理会社がやりすぎたのかなと思っていますが)ということかなと私は思っています。
    管理業協会のデータは直近3年だけでイマイチ分析をするには情報が足りませんが、過去20年とかのグラフを見れば、もっと利益を取れていた時代はあったはずです。(新築供給価格の変化を後追いする形で変わってんじゃないかと思っています、ちゃんと見てないのと相関関係があるのかどうか理由がはっきりしませんから感覚値ですが)

    それで、少なくとも今後数年は、管理会社の利益率は上がっていくと私は考えています。
    例えば、専有部サービスで客単価を上げるのも一つの流れですね。

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