マンションの駐輪場が足りない場合に取りうる対策、のお話です。
このページの情報は、主に分譲マンションの管理者向けとなっています。
「住人の立場」とは少し違う視点で書かれているので、予めご留意のうえご覧くださいませ~。
マンション駐輪場の不足、対応事例
解決事例を掲載します。
- 不要自転車の処分
- 駐輪場の増設
- 共用自転車の導入
- 駐輪場使用料の徴収(もしくは値上げ)
実務的な対応例はこんなところです。
不要自転車の処分
まず一番最初に手を付けるところはここかな、という案です。
前提として、マンションの駐輪場は私有地です。なので、「所有者のわからない」自転車を「所有権の放棄されたものとみなし」、管理者が所有権を取得し、その権限によって処分する、という方法を取ることができます。
とはいえ、所有者が知らないうちに処分してしまい、「勝手に捨ててしまった」というクレームは避けたいところ。慎重に進めなければなりません。
具体的には、
- 自転車を整理する旨を周知
- 目印の設置
- 抽出した自転車の移動・写真撮影
- 再周知(写真付きで)
- 処分
1番と2番、この2つの方法によって、所有者の不明な自転車か否かを選別します。
目印は何でも構いません。リボンでも札でもなんでもいいです。
専用商品も販売されています。
これらの目印を自転車に設置し、「外されなければ諸湯者が不明」と判断します。
その後、警察に届け出て盗難自転車か否かを判別した上で、それでもやはり所有者がわからなければ、処分にすすみます。
周知→処分までに必要な期間については各社によって様々あるようなのですが、聞くところによると半年近いスパンをとって処分に進む会社もあるようです。特に、賃貸管理会社はその傾向が強いようですね。2回、3回と続けて調査を行う会社もあります。実際の期間は、様子を見て設定してください。
処分予定自転車は1箇所に集めるとわかりやすくてよいです。写真も撮って周知しておくと、より事故が減ります。
駐輪場の増設
駐車場や植栽スペースを駐輪場へ変更する、という案です。
屋根付きのスペースを増設する場合は建築基準法の制限を受ける可能性が高いので、その点は注意が必要です。(主に容積率・建ぺい率の制限を受けます、詳細はプロに現場調査をしてもらって確認してください)
また、スライド式ラックの導入や、二段式駐輪機の導入によって、駐輪台数を増設する方法もこれに含まれます。
メリット |
デメリット |
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駐輪場使用料の徴収(もしくは値上げ)
駐輪場は、共用スペースに該当し、維持には一定のコストがかかっています。
であれば、その維持コストは、「利用者が支払うのが妥当」という考え方があります。(受益者負担の考え方)
そのような観点から、駐輪場利用料が無償(あるいは安すぎる)場合は、一考の余地があります。
メリット |
デメリット |
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≪参考≫ 全国的な使用料の平均(目安です) ※月々の使用料
自転車:250円~300円
バイク:1,700円~2,200円
なお、周辺環境の使用料が知りたい場合は、不動産のチラシを見れば掲載されているので、感覚値でつかめると思います。
共用自転車の導入
現実に、上記の案はどれも抜本的な解決になりえない可能性があります。
違った目線からの解決、ということであれば、共用で利用できる自転車の採用が考えられます。
メリット |
デメリット |
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ただし、どうしてもコストがかかるので、一定数の居住者が存在する大規模マンションでなければ採用のメリットは薄い可能性があります。
様子を見る、というのも一つの手ではある
マンションの住人の年齢層の変化と共に、マンション全体の自転車の総量も変化します。
新築時、ほぼ同時期に入居した居住者は、似たような家族構成です。
子供も同じ年代が多いですから、成長と共に自転車が爆発的に増えて、そして卒業と共に減る傾向にあります。
築後20年を経過すると、人の入れ替わりもあるのでかなりマイルドになる印象ですね。
感覚値ですが、明らかに減ります。
分譲マンションの場合、築5年~15年くらいが自転車増加のピークで、それ以降、減りやすい傾向にあります。(賃貸マンションは人が入れ替わるのでこの限りではありません)
あまり積極的な案ではありませんが、「様子を見ること」も一つの選択肢にはなっている印象はあります。