組合会計

マンション管理組合用口座の名義変更手続きが遅いが、管理会社は大丈夫か

「決算が終わったのに、通帳口座の代表者名義が全然変更されないんですけどウチの管理会社は大丈夫ですか!不正してますか!?」
みたいなご質問がありました。

お聞きしましたら、12月末が決算のマンションで、決算から半年が経過する6月になるにも関わらず通帳の口座名義が変更されておらず、非常に不安に思っている、とのこと。

結論を言うと「まー、そんなもんじゃないですか?」というお返事です。

名義の変更について整理しておきます。

はじめちゃん!
はじめちゃん!
本件は、「私の考え方は」という前提のお話です、別の会社さんには別の会社さんのルール、やり方があるでしょうし、管理組合側の指示事項によっても状況は変わります。すべてに当てはまる話ではないということを念頭にお読みください。

通帳名義の変更とは?

整理の意味も込めて。通帳名義の変更ってなんぞや、というお話を。

分譲マンションでは、各住戸から、管理費や修繕積立金といったお金を集金しています。
このお金は、マンション用の銀行口座に預けられているのが一般的です。

で、そのマンションの銀行口座の名義人は、管理者である理事長(※1)の名義となっています。
多くのマンションで、理事長は定期的に(1年、または2年程度で)変更となりますから、伴い、銀行口座の名義人も変更することになります。

ちなみに、名義を変更せずとも預金の引き出しは可能です。
実務でも、総会で理事長が変更となったあと、しばらくの間は前理事長の名義で引き出しを行うケースが多いですね。

という説明をしたときに、「引き出しができるのであれば、名義の変更はしなくてもいいんじゃないの?」という質問を実際に受けたことがあるのですが、それは違います。

通帳の名義人は、出納印の変更や引き出しが単独で可能です。これは、別段、管理会社を通さねばならない、というわけではなく、自ら銀行に出向けば実施可能です。
例えば、万が一、名義人である以前の理事長が悪いことを考えて不正出金、かつ逃げてしまった場合、回収がとても困難になるケースも考えられますから、素直に名義は変更しておいたほうがよろしいです。

※1
法人化していると法人名義で通帳が作れたりとちょっと違うのですが、本旨から外れますので省きます。

ちなみに、法人化していないマンションの管理組合は「権利能力なき社団」と呼ばれる団体です。法人化していない場合、口座開設にはいろいろと制限があるのですが、多くの分譲マンションでは口座開設に支障はないと思われます。

通帳名義の変更に必要な書類

  • 通帳
  • 出納印
  • 銀行の指定する専用書式への記入と捺印
  • 本人確認書類(免許証等、顔写真入りのもの)
  • 代表者が変更となったことを示す書類(総会議事録でOK)

これらが必要となります。
本人確認証は顔写真入りでなくとも大丈夫なことが多いのですが、たまーにダメって言われるので、可能な限り顔写真入りのものが望ましいです。(顔写真入りのものをもっていなければ、事前に銀行へ問い合わせたほうが無難です)
あと、本人確認証の住所がマンションの住所でなければ問題があるので注意、と上司から指導されたのですが、今までそのケースに出くわしたことがないので実際どういう問題があるのかよくわかりません。

ちなみに、名義の変更をする場合は、「名義人本人が銀行へ行く場合」と、「名義人は行かず、管理会社が代理で済ます場合」があります。

名義人本人が銀行へ行く場合の手続き

名義の変更には通帳が必要となります。
通帳は管理会社が預かっているケースが多いですから、管理会社の担当フロントが通帳を持参し、名義の変更に同席するのではないかと思います。

理事長は、免許証と出納印だけ持っていけば良いでしょう。あとの必要書類は管理会社が用意すると思います。

通常、銀行には窓口に案内の方がいるので、「代表者の名義の変更に伺いました」と伝えると、必要な番号札をとってくれると思います。

名義人は行かず、管理会社が代理で済ます場合の手続き

各銀行の指定する専用書類に予め捺印をしてもらい、それら必要書類を持って管理会社の社員が単独で銀行へ訪問します。
名義人(理事長)は銀行へ行かなくて良いので、平日に会社の休みをとったりといった手間をかけなくてよくなりますね。

この場合、マンションの担当フロントではなく、事務社員が訪問するのではないかと思います。
名義人である管理組合の理事長が銀行に訪問する場合は、さすがに事務社員に同行を対応させるのはお互いに気の毒ですからやらないですが、管理会社が単独で行うのであれば、比較的お給料がお高めの担当フロントが銀行へ訪問する必要はないでしょう、という考え方です。

銀行は「原則として名義人本人の来店」を求めますが、それは原則であって、交渉すれば大体の銀行は管理会社の代理可としてくれるのではないかと思います。

経験的には、むしろ、信用金庫などの小規模の団体のほうが厳しいケースが多いです。
都銀等の大手はどうやらマニュアル的なものがあるのに対し、信用金庫等の小規模なところは全店舗で共通ルールがあるわけではなく、担当支店長の采配で可否を決定しているようなふしがあり、厳しく融通の効かない支店長の場合はダメだけれど、そうじゃないとヨシ、になっているから、のような気がします。(本当のところは知りませんが)

管理会社が名義変更する系の裏話

管理会社が代行する場合は、いろいろと制限があります。

管理会社が代理人として名義の変更手続きを行う場合、多くの銀行から求めれるのは、通常の名義変更書類に加えて、

  • 来店者本人の本人確認証(免許証等)
  • 来店者本人の従業者証明書
  • マンションと管理会社の管理業務委託契約書(これはなくてもいい場合も多いですが、たまーに求められます)
  • 委任状(一度だけ求められかけましたが、最終的に不要となったので、提出したことはありません)
  • 名義人本人の本人確認証のコピー
  • 名義人本人の本人確認証の原本(コピーだけでなく、なんと原本を求められることがあります。ただし、そんなもん無理に決まっとるがなでお断り。求められたことはありますが必要となったことは一度もありません)

これらの書類が必要になります。

私も、名義の変更に銀行へ出向くことがあるのですが、委託契約書を持参していなかったからお許し頂けなかった、出納印の陰影が不鮮明(肉眼ではイマイチわからない程度の・・・)、免許証のコピーが不鮮明で不可、銀行側の書式が変わっちゃったのでやり直し、などの二度手間は結構くらっています。

必要書類については事前に事務員さんが確認してくれているのですが、窓口の担当者によって言うことが違ったりします。言われなかったから持参しなかったのに当日求められる、などもあったりして、なかなか手ごわいです。
都銀は安定してる気がしていて、窓口の担当によって言うことが違う、ということは(私個人の経験では)あまりありませんので、わりとさっくり変更が可能です。

余談ですが、「口座を開設した支店でなければ名義が変更できない」と言われるケースが多いです。
正確には、別の支店でも変更は可能なのですが、一旦通帳を預けて、開設した支店まで輸送して名義変更手続き、その後、返送されたものを引き取りにゆく、という形になるそうです。
通帳が手元にない期間があると支払いに支障が出る可能性があることや、あと単純に不安なので、私はこの方法でやったことはありません。

代理での名義変更、理事長が訪問、一般的にはどちらが多いか?

他社がどうしているかは知らないです。なので、私はわかりません。

過去、理事長が銀行にお勤めの方だったことがあって、他社はどうしてるのかと聞いたことがあるのですが、各社様々だね、とのことでした。

そのときに聞いた感覚では、どちらかというと理事長が訪問する管理会社のほうが多いようでしたが、銀行側もいちいち把握しているわけではないので、(その方は窓口業務の担当でもなかったので余計に)よくわかりませんでした。

ちなみに、通帳の名義人は非常に重要であり、他人に変更手続きを任せたときのリスクを考えると、本人が訪問し確実に変更を確かめたほうがよろしいのは間違いありませんが、そのあたりは管理会社と管理組合の信頼関係、あとは理事長も含めた各人の「めんどくさいナァ」な気持ちの現れで、管理会社が代理で行っているケースがあるのが現状かなとは思います。

管理会社側のフロントの視点で見れば、管理会社独自でやったほうがラクです。
管理会社の社員は各々10~15棟程度の物件を担当しているわけです。全部同行してたら銀行に毎月行かないといけなくなるので、業務としては非常に重く手間です。

名義の変更にかかる時間は、各行30分~1時間程度。
最近は、通帳口座を複数持っている組合はほとんどないでしょうから、1行か、多くて2行だと思いますが、なかなかの手間です。移動時間も含めると1棟につき半日は必要です。

仕事なのだから、と言われればもちろんそのとおりなので別段拒否したりはしませんが、できることならやりたくない、という本音もあったりはします。名義の変更に行ったからといって会社や組合から褒められるわけでもなく、手当が与えられるわけでもなく、仕事が減るわけでもないからです。

マンションの名義変更に関するスケジュール

さて、改めて「決算が終わったのに、通帳口座の代表者名義が変更されない」という質問にお答えします。

ご質問の通り、12月末が決算期のマンションを想定してご紹介します。

12月末 期末を迎える
1月中 決算準備
2月中 管理会社からの決算報告を受ける
3月中 定期総会。ここで理事長が変更。
4月 総会終了後、議事録作成。
5月~6月 名義の変更実施(名義の変更には議事録が必須)

モデルケースであり、必ずしもこうなる、というわけではありません。
定期総会が3月ではなく2月に実施されるマンションもありますから、その場合は1ヶ月スケジュールが早まりますね。

スケジュールの中でポイントとなるのは、以下の3点です。

  • 議事録作成のスピード
  • 各種支払時期との兼ね合い
  • 書類準備の時間

議事録作成のスピード

総会終了後、議事録は管理会社が草案を作成し、役員が修正するのが一般的です。
修正が完了した議事録に役員が署名捺印し完成、となります。

この期間は、総会が終了してから早くても2週間程度、もたもたしていると1ヶ月以上かかるケースも珍しくありません。

となれば、仮に3月15日に総会があったとすると、議事録ができあがるのは4月初旬~中旬になり、そこから名義の変更を行うわけです。

ですから、名義の変更が完了するのは、最短でも総会の翌月が目処、ということになります。

各種支払時期との兼ね合い

これは、管理会社の会計のフローによって当てはまらないこともあるのですが。

毎月月末に管理組合の口座から支払いを行っていると仮定した場合、毎月中旬には、管理会社は支払い用紙を管理組合から受け取り、支払い手続きを行わなければなりません。
その際の支払い用紙の名義は、前理事長であるのが通常です。
名義が新しい理事長へ変更となると、前理事長名義の支払い用紙が利用できない=支払いができないといった事態に陥ります。

ですから、上記のようなフローで支払っている場合は、4月中旬を超えた次点で一旦名義の変更手続きはストップし、4月末の支払いが完了した時点で変更を行うのがスムーズです。

となれば、最短でも5月初旬が変更時期となります。

管理組合口座、名義の変更の時期名義が変更しにくい時期のイメージ

 

ネットバンクを利用している、事前に名義の変更を見越して資料を準備している、など、上記には当てはまらないケースは多々ありますけれど、こういった事情もある、ということはご理解いただければな、と思います。

書類準備に要する時間

書類関連は、管理会社が作成するケースが多いのかなとは思います。
または、理事長と訪問した際に銀行に用意してもらってその場で理事長が記入する、としている管理会社もあるかもしれません。
(事前に用意してると書式が変わってて使えない、というケースも結構あるので、手間を掛けないなら当日書いたほうが全体の手間は少ないでしょう)

管理会社が銀行へ単独で訪問する場合は、事前に事務員(またはフロント)が必要事項をかきあげて、理事長は捺印程度で良い、としているケースが多いのかなあと思います。
(別段、理事長に必要事項を書いてもらっても良いのですが、書くところが多いので忘れが発生しやすく二度手間が起こりやすいのと、書き間違いが許されない書類もありますので、そういう意味でも事前に事務員に書いてもらった方が手間がないと思います)

この準備にもそれなりの手間がかかるので、やはり一応の期間は必要です。

もちろん、「事前に用意しておけばいいじゃないか」というご意見もごもっともなのですが、しかし、いつ議事録が出来上がるのかわからない、いつ名義の変更を行うかもわからない、という状況では、事前に用意すると書式変更などがあったりして二度手間になるケースもあるわけです。
であれば、管理会社側としては事前に準備するではなく、「準備ができたので名義の変更を行う」という段階になってから準備を始めるのが妥当な通常業務かなと私は認識しています。

そういったわけで、タイミング次第では議事録が出来上がってからでも1ヶ月ほど遅れます。

例えば、総会終了が3月31日、議事録の作成に1ヶ月かかったとすると5月初旬になります。
連休を挟み5月では変更の処理がしきれず、となれば、6月に入ってから名義の変更、というケースも、実務上はさして珍しいものではありません

諸々あって処理が遅れると、ドミノ倒しで順に遅れてゆき、変更完了は7月になる、というケースもあったりします。

まとめ

決算完了後、半年たっても名義が変更されない、というケースは実務上よくあること。
特に不安に思う必要はないとは思います、が私の回答です。

早めにやりたいなら、「早めに変更したい」と管理会社に伝えましょう

いろいろと手続きがあることはご理解いただけたのかなーとは思いますが。

とはいえ、理事長が変更となっているのに名義が変更とならないのは気持ちが悪い、すぐにでも変更したい、とお考えの方もいるかもしれません。

その場合は、事前に管理会社へそうお伝えください。

管理会社の中の人の気持ちとしては、名義の変更に関する優先順位はさして高いものではなく、「早いに越したことはない」程度にしか認識していません。(少なくとも私はそうです)

名義の変更のほかにも業務はたくさんあり、諸々の準備もしなければならないので、組合からの要請がなければ遅れ遅れになりがちなことも事実です。

実務的には、総会議事録さえ完成していれば名義の変更は可能です。
早めに名義の変更を済ませてしまいたい、ということであれば、管理会社へ相談し、協力を要請しさえすれば(たぶん)応えてくれるでしょう。

その相談もなしに急に遅いとか言われましても、あなた様はご存じないでしょうが毎年そうじゃないですか・・・。というのは、管理会社側の正直な気持ちなのかなあとか思ったりします。

言った上でやらない、できない、であれば、これはまあ、あまりよろしくない担当者か、管理会社なのかなあ、という気がしますので、申し入れた上で様子を見ていただければ、とは。

いずれにせよ、本件は、名義の変更に対する管理組合と管理会社の意識の違いがあるような気はします。
管理会社の担当は、名義の変更を特別に重要な業務とは認識していないのではないかなあと思います。
一度、担当の方とゆっくり話し合ってみるとなにか手がかりがあるのではないかと思いますヨ、といったあたりで締めといたします。

あくまでも「私の」考え方です。
管理会社によっては、名義は即変更な会社もあるかもしれません。
事情は当事者によくお聞きになって、その良否は皆様ご自身でご判断ください。

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はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/2級建設業経理士/二級建築士/1級船舶免許

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