マンション管理は管理組合だけでその業務が完結することはなく、種々の業者に業務を依頼しています。
その関係で、必要に応じて鍵を各社に貸し出しているマンションがほとんどです。
というわけで、共用部分の鍵を変更したら、貸し出す鍵の交換を手配しないといけません。
貸し出すべき鍵の種類
まず貸し出さないといけないであろう鍵の種類について整理しておきます。
- 管理員室
- 通用口
- 屋上出入り口
- 屋上エレベーター機械室
- 電気室
- その他、設備室の入り口(必要なら)
現場によっては違う事はありえます。確認はしてください
鍵を渡す会社
管理会社
- 管理員室キー 2本
利用するのは「本社保管の緊急用キー1本」「現場保管用キー1本」かと思います。
なのですが、管理会社各社によってやり方が違うので、他にも必要と言われるかもしれません。
例えば、管理員が業務中に利用するため、1人に付き1本は鍵が必要なのですが、このキーについては現場で保管しているものを共通で使ったり、別で貸し出したりと様々です。
ここは管理会社と打ち合わせしてください。
警備会社
- 管理員室キー 2本
警備用で2本必要です。
マンションによっては、契約によって、専有部分の鍵を警備会社に預けている場合もありますね。
エレベーターメンテ会社
- 通用口 1本
- 屋上 1本
- 屋上エレベーター機械室 1本
メンテナンス用に(現場に人が不在でも対応できるように)鍵を預けるケースが一般的です。
なお、機械室レスエレベーターの場合、屋上の鍵の貸し出しは不要です。
電気室メンテ会社
- 電気室 1本
一括受電をしている場合はその会社に、していない場合は地域電力会社に。
検診業者(水道、ガス、電気)
- 通用口 1本
忘れずわたしておきましょう。
その他の設備管理会社
私の経験から言うと鍵を渡す先は上記くらいかとは思いますが、他にも契約に合わせて渡しているケースがあるかもしれません。
確認はして、必要に応じて手配してください。
通用口の鍵について
通用口の鍵は、他の鍵でも開く(逆マスタータイプ)となっているケースが多いです。
たとえば、住戸用の鍵で、共用通用口の鍵は開きますよね?
同じように、管理員室用の鍵でも、共用通用口の鍵が開くようになっています。
ですから、「通用口用のキー」と「管理員室用のキー」は区別して管理する必要があります。
稀に、それを知らずに「管理員室用のキー」を、検針業者に渡してしまうケースがありますが、全く無用のリスクを背負うことになります。ご注意を。
通用口の鍵はたくさん
通用口の鍵はたくさんあります。
エントランスも含めて、すべて同じ錠前を使用しているからです。
それぞれの場所ごとに鍵を3本ずつありますから、通用口の鍵が10本~20本(物件規模が大きく、通用口の数が増えると更に増えます)くらい存在するケースはよくあります。
鍵の一覧表を作る
竣工時に、売り主から鍵の一覧表を渡されているかと思います。
◆売り主→管理会社→(設立総会後)組合へ渡される
最初は引き継いだ資料をそのまま利用すればよいでしょうが、鍵の交換や鍵の追加とともに一覧表は変更してく必要があります。
表は簡易なものをエクセルで作る程度で良いと思います。
【表の例】
番号 | 場所 | 本数 | カギ番号 | メーカー |
1 | ||||
2 | ||||
3 | ||||
4 |
※コピーしてエクセルに貼り付けて使ってください。
鍵の貸し出し表を作る
将来、どこに何本鍵を貸し出したか、という点については必ず(必ず!)わからなくなります。
資料を作っておきましょう。
これもまた簡易なもので問題ありません。
【表の例】
番号 | 目的 | 貸出先 | 場所 | 本数 | カギ番号 | メーカー | 役員確認日 | 役員確認欄 |
1 | ||||||||
2 | ||||||||
3 | ||||||||
4 |
※コピーしてエクセルに貼り付けて使ってください。
鍵の預り証を作る
特に何も言わずとも、相手方が預り証を出してくれるとは思いますが、条件等が不足していることが多いので、可能であれば組合にとって「都合のいい」預り証を作成したほうが良いでしょう。
なお、ちょろっとネットで調べたらあったのでご紹介しておきます。これを参考にされれば良いと思います。
https://www.zenkoku-mankan.org/key-t/
補足として、私が思う貸出条件のポイントとしては、
- 複製は理由に関わらず行わない。
- 紛失した場合は直ちに報告する。
- 過失により発生した損害について、その損害賠償請求には誠実に応じる。
- 定期的に鍵の所在確認を行うものとし、管理員室へ預かった鍵を持参する。その際、必要な交通費等、一切の諸経費は自ら負担する。
- 第三者への再貸し出しは理由に関わらず行わない。ただし、事前に書面での申請を行った場合はこの限りではない。
- いつでも管理組合は返却を申し出ることができるものとし、その際に理由は問わない。
あたりでしょうか。リンク元とは微妙に考え方が違うのが面白いですね。以下で少し解説をします。
再貸し出しについて
実際の作業は下請けが行う場合は多く、別会社へ再貸し出しを行わなければならないことは多々あります。
公共料金については会社が細かく別れていたりしますし、管理会社も管理員・清掃員を外部委託していて鍵を使わせていたりするからです。
ここは柔軟に対応してよいのですが、何らかは残しておいたほうが確実でしょうから、書面で申請を受ける、としています。完全に申請なしで許可すると相手もダレますが、しかし、完全にダメ、としてしまうと管理組合の確認の手間が増えて面倒かと。(案外、会社が違うということはよくあるので)
または、預かり元が管理責任を負う、という形でもいいかとは思います。好みですね。会社が複数またがるとその分、危機意識もふわっとなるので私の好みではないかなという感じです。
鍵のコピー
鍵のコピーは許すべきではないと思います。
(リンク元は許可があれば可としていますが私は否定的で)これは、『許可』の基準が曖昧だからです。「許可もらいましたぁ!管理会社さんに、電話で!」とか言われたらもうどうにもなりません。
そういうリスクをあえて背負う必要はなく、コピーの作成が必要なら、その都度申し出てもらい、組合が新たに貸し出せば良いでしょう。
鍵の所在確認
鍵の所在確認のための相手方の人件費は貸し出しの条件に入れておいたほうが無難だろうと思います。普通は相手方も断らないでしょうが、それでもめんどくさがることは間違いないので。貸し出す前からめんどくさいことを言っておくと、貸してもらえないよりはいいか、、、という雰囲気になります。
実際に確認するかどうかは組合の考え方次第ですが、相手方も会社であれば担当者が変わっていく可能性は高く、徐々にルーズになっていく可能性があります。
もし手間でなければ1年に1回、少し猶予しても2年~3年に一度は鍵の存在を確認したほうが、相手方も多少の緊張感を持って預かってくれるでしょう。
紛失した場合の交換費用
鍵の交換費用の負担について、リンク元は相手方の負担、としていますね。
ただこれ、逆マスターの鍵の交換を負担させる場合、全戸か、当該場所のみでよいのか、という点は結構揉めると思いますし、もし、全戸交換を要求する場合は、高額な交換費用を恐れて相手方が申し出ない(カギ番号から本キーを新規作成されれればわからない)可能性があるので、それくらいなら素直に失くしたと言ってもらったほうがいいと思います。
なので、まあ、お互い誠実にやりましょうよ、で収めておくらいでいいんじゃないかなと(私は)思います。
貸し出す際の鍵の作成費用は誰が負担するのか
鍵を「貸し出す」わけで、鍵は管理組合のものです。ですから、その作成費用も管理組合が負担するのが通常だとは思います。
とはいいながらも、業者側は気を使う事が多いので、「もう貸し出せる鍵が無いんですよネ」とか言うと作成費用を負担してくれることもあるとは思います。
しかし、対等な立場であることを一貫するためにも、適切に管理組合が負担すべきものは負担しておいたほうが良いと思います。たとえ、相手方から「こっちで作りましょうか」と言われても、です。
おわり
こういうことを管理組合側が指示する必要は無いかとは思います。なぜなら日常業務の一部であり、こういう部分の適正な運用こそ管理会社の価値だからです。
しかし、かといって放置していると「鍵が何本あるかわかんないしだれが持ってるのかもよく知らない」ってな具合になりかねませんからほったらかしにせず、組合でも確認はかっちりしたほうがいいとは思います。
なお、組合側が何も言わなくても確認を要求してくる管理会社ならしっかりしてるでしょう。逆に何も言ってこないようならアバウトにやってる(というかやってない)んじゃないかと思います。
あと、管理組合側でしっかりとやるのであれば、鍵の管理細則を設定するという方法もありますし、こちらのほうがより適切です。何らかの雛形なり経験なりは管理会社が持っているかとは思いますので、気になった方は管理会社にご相談なさってみてはいかがでしょうか。