総会

出席者は反対意見が多いが、議決権行使書をあわせると賛成多数となった場合【マンション総会】

マンションの総会の、可決・否決の考え方についてです。

出席者の意見と、欠席者の意見が合致しない場合に、どうすればよいか?

というケース。

以下が具体例です。

議案の話し合いの中で、

  • 議場に出席した方の意見は、圧倒的に反対意見が多かった。
  • 採決を取ると、出席者の多くが反対意見だった。
  • しかし、議決権行使書(と、委任状)をあわせると、賛成が上回った

このような場合に、どのような対応が求められるか、というお話です。

出席者の意見と欠席者の意見が合致しない場合の考え方

素直に考えるなら、賛成意見が上回っているのですから、議案としては可決となります。

が、それで良いのですか??

というお話ですね。

 

これを賛成多数として可決してしまうには、非常に大きな問題があります。

確かに、数だけで考えると賛成が上回ってはいます。
しかし、議題の趣旨を直接説明し、内容を十分に理解したであろう多くの方が反対としているには理由があるはずです。

その理由をさておき、賛成多数で可決としてしまうのは問題でしょう。

 

マンションの総会を運営する規則(区分所有法や管理規約等)では、こういた場合にどの対応が正解か、は、示されていません。

なので、管理会社や管理業協会等の専門機関の出す正解の回答としては、「このようなことにならないよう、十分な広報と、事前の打ち合わせをしましょう」となります。

とはいえ、現場では起こりうる話であり、まあ、こういうことは起こってしまってから「やっちまった」と気づくものです。

正解の話はまあそうなんだけど、どうしたらいいのよ? と。

 

では、どのような考え方があるのか、について一例をお話します。

『マンションでは、総会での話し合いが重要視されている』という考え方がありますよね。

例えば、区分所有法では、

法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。

区分所有法 第45条から抜粋

とされています。

「全員が集まらなくて良いって言ってるんだったら、集まらなくてもいいよね」というお話ですね。

これは、裏を返せば安易に書面での決議が行われないように非常に重い制限をかけている、という趣旨と考えられ、つまりは、「話し合う機会を重視している」と、捉えることができます。

※標準管理規約にも同様のことが記載されています。

 

なので、話し合う機会において出された結論(この場合は、反対という結論)とは違う結果が出てしまった場合は、安易に数だけで判断するのは適切ではないと考えられます。

具体的には、採決そのものを取らず、一度、議決を流してしまうことも一つの手段でしょう。

 

今回、例に上げたケースでは、採決をした後に、「可決になっちった!」 と気づいたパターンなのですが、まあ、それも仕方ありません。

とりあえず採決はなかったコトにするかなにかして、一度、議案を保留にしてしまいましょう

「本総会の討論により、いくつかの問題点が浮き彫りとなり、また、多くの方が反対のご意見をお持ちだということがわかりました。問題の●●を解決するには▲▲が必要となるなど、課題の多い議題であったと反省しております。つきましては、●●を解決するため、本議案については、改めて理事会にて検討を行いたいと考えております。一旦、本議案の実行については保留とささせていただき、あらためて臨時総会の場で皆様にご承認を頂いてから実行を、と考えておりますが、いかがでしょうか」

的な感じで宜しいのでは、と思います。

議場の空気は反対が多いのですから、まあ、そのへんは問題ないのかなと思います。

しかし、議決権行使書を提出した方は、賛成の意見を出している方のほうが多いわけですし、その方々へのフォローは大切です。

問題点等は、議事録で入念に説明し、理解を求めましょう。

欠席者と出席者の意見が食い違うということは、どこかしら問題があるのでは?

欠席者と出席者の意見が食い違うということは、通常はあまりありません。

総会の案内を読んでいない人が何も考えずに、「議決権行使書で賛成」と、提出することはよくありますが、では全員が全員読んでいないのか、と言うとそうではなく、やはり、無謀な議案にはきちんと反対と回答する人もいらっしゃいます。

ということで、今回のケースでは、もともとは議案に記載されていない新たな事実が話し合いの中で判明し、結果として反対者が多くでたのでしょうから、欠席者にはその点を説明し理解を求めることになるのでは、と思います。

 

いずれにせよ、採決をとってしまった時点で、「決まったんならやらないと」という無言のプレッシャーが生まれます。

明らかに反対意見が多いと思われるにもかかわらず議決権行使書では賛成意見が多い、というようなら、そうなってしまった時点で、議案の上げ方が悪いか、なにか重大な勘違いがあったものと思われます。

議案の提案者である議長(と、それを承認した理事会)にも責任の一端はありますから、穏便に解決できるように努力を惜しまないようにしたいものです。

管理会社の担当者としては?

転じて、フロントとしてどうするべきか、ですが。

採決後に口を挟むのはかなり難易度が高いと思います。

少なからず、フロントの立場で、議決権行使書の賛成意見をないがしろにするわけにはいきませんから、採決をとった時点の結論に従う以外の選択肢は無いと思います。

というわけで、場の空気に任せましょう。
参加者から特に意見がないようなら、黙って可決で進めれば良いと思います。

特別に、「いや、しかしこれで良いのか」というふうな意見が出るなら、ようやくフロントが口を挟む土壌ができます。

あとは、話し合いの上で、組合が納得する着地点を見つけるしかないと思います。

最終的な決断(採決を取りやめる、もしくは可決で進めるという決断)は管理組合(議長)がするしかありませんから、フロントはそれら複数の可能性をおぼろげに示唆しながらも、決して自ら「やめましょう(あるいはやりましょう)」とは言わないほうがよろしいかとは思います。

特に利権が絡む問題の場合、トラブルに巻き込まれる可能性が高いです。

最大の問題は「なぜ反対か」のポイント

「なぜ議場の出席者の意見と、欠席者の意見が食い違うのか」

ということが最大のポイントかと思います。

 

議案内容的にどちらでも良いようなことなら、フロントが特に口を挟む必要はなく、組合の自主性に任せれば良いとは思います。

たとえば、宅配ボックスをつけるとかつけないとか、です。

このくらいのことなら、素直に数に従えば良いでしょう。組合にとっての第三者であるフロントがあえて口を挟む必要性はないと判断します。

 

しかし、組合運営にとって非常に重要な議案の場合は、採決の前に議長に耳打ちをして、採決をストップするなどの案を示したほうがよろしいでしょう。

たとえば、修繕積立金を下げる、などですね。

組合がどのくらいの精度の資金計画をたてているかにもよりますが、多くの場合、修繕積立金を下げてよい方向に進む可能性は低いですし、また、次に上げる際にはかなりの労力が必要です。

何がマンションのためになるか、は、最終的に組合が判断すべきことではありますが、客観的に問題がありそうな場合は、軽く方向性を指し示してあげるくらいのことはして良いとは思います。

 

おわり

基本的には、採決をひっくり返すのは禁じ手の部類です。

使わないように議事進行を行なうことが前提の話だ、ということを重々ご理解ください。

とはいえ、区分所有法をはじめとした、マンション管理の考え方に照らし合わせると、出席者の意見は十分に尊重されるべきものですから、このような考え方もないわけではない、という話ですね。

 

いずれにせよ、欠席者と出席者の意見が強くねじれてしまった時点で、その総会には正常な議決判断の機能がないと判断します。

適切な判断ができない状態にあると考えられますから、方向性は慎重に決めたいものですね。

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/建築業計理士二級/二級建築士/1級船舶免許

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  1. 器用人 より:

     民主主義の原則は多数決ですから、総会の場合、事業計画と予算案は最終的に議決をして決着を付けないと、事業が停滞します。 したがって、事業計画と予算案については、議案に明らかな瑕疵がない限り(極端に言えば瑕疵があっても)議決しなければなりません。 修正は臨時理事会と臨時総会を開催して、再審議します。 重要事項説明書により予算の素案、事業計画原案等の案の作成は管理会社の業務ですから、原案に瑕疵があれば管理会社の責任です。 本来は通常総会資料審議の理事会で慎重審議し、瑕疵の無い議案書で総会を行えば、出席者反対、議決権行使書等賛成で議案がスンナリと通過はしません。

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