「捨て問」といっても、二つの意味合いがあります。
- 試験本番で出題されて、「解けない」と判断した問題
- 試験勉強時に、カテゴリー自体が難しすぎて「捨てる」と判断した問題
このうち、1番については、資格試験のテクニックとして、「解かない」という選択肢は大いにアリです。「難しい」、もしくは「時間のかかる」問題を、解かない。あるいは後回しにして、「わかるところに時間をかけて確実に得点を上げる」という手法です。
これは、アリ。
今回は、2番のお話。
”試験勉強時に、カテゴリー自体が難しすぎて「捨てる」と判断した問題”です。
管理業務主任者試験では、「捨てカテゴリー」はない
私は、「管理業務主任者」試験においては、「捨てカテゴリー」はないと判断しています。もちろん、部分的に「絶対に理解できない」問題(カテゴリーではなくて、問題)であれば、それを捨てる事は、戦略としてはアリです。わかるところに学習リソースを割いた方が、効率よく得点ができるので。
特に。建築基準法や、設備系の問題はとっつきにくく、「わからないので勉強しない」という方もいらっしゃるみたいですが、これ、本当にもったいないですよ。出題数が多いうえ、頻発問題も多い部分なので、やりさえすれば適当に得点できるので。それが100点満点じゃなくても、です。
出題側の心理を考えてみて頂きたいのです。あんまり試験を難しくしすぎると、正解する人がいなくなっちゃいますよね? そうすると、合格者の質が、年度によって揺れてしまうと思いませんか?(特定の分野に強い人間ばかりが固まって合格しやすくなってしまい、結果、合格者の知識が年度によって偏ってしまう、という意味です)
なので、本番の試験では、ほとんどの設問を、「過去問を解いていればクリアできる」程度の問題に仕上げてきます。そうすることで、合格者の質を担保しています。
具体的にいうと、4肢のうち、3肢は「過去問から出題」し、「1肢は新規問題を出す」、という感じです。となれば、問題のレベルが高かろうが低かろうが、正解者は「よく勉強してきた人」になりますよね?
なんだか少々間違った方向のようにも思いますが、これが実際に行われている合格者の選別です。
ちなみに。逆に言えば、「テキストには書かれているけれど過去問には出てこない」問題は、覚える必要はありません。なぜなら、出題確率が低く、学習効率が悪いから。出る可能性の低い内容を一生懸命覚えるのは、単純に効率が悪いよね、って話です。
その考え方でいくと、落としたくないのは、「よく出る」問題です。いくら難しくても、「よく出る」問題は落としちゃダメ。なぜなら、これは、今後も「出題される可能性が高い」問題だからです。そして、同時に、「他の人たちが正解する可能性の高い」問題でもあります。そういうのを落としちゃうと、一気に平均点を引き離されてしまうのです。
唯一、会計問題だけは捨てていい・・・かもしれない
管理業務主任者、マンション管理士試験で、唯一、「どうしてもダメなら、捨てても仕方ないかな・・・」というカテゴリーは、会計問題。試験では、会計問題は2問出題されます。内容は、主に「仕分け問題」。
出題レベルは、簿記3級レベル。知ってさえいれば、難しいものではありません。知ってる人なら、「100問解いたら100問正解する」、という類のものです。ここの出題レベルは、基礎のキ、みたいな内容。ですので、会計を専門に扱う管理会社の職員であるフロントが、このくらいの問題を解けないってかなりマズいのですが、とはいえ。実務で仕分け処理をするわけでもなく、また、入社後間もないなどでフロントの経験も浅いとなれば、ここがわかんないのは仕方ないかな、と。
根気よく勉強すれば、いずれ理解できるようになるので、「確実に2点を得点する」ために会計の勉強をするのは、絶対いいと思います。その分、本番で楽ができるので。(実質、無条件で2点が与えられているようなものですからね)
ですが、「全然わからないけど試験まで時間がない・・・」というなら、思い切って捨てちゃって、他の部分に力を入れるのは、まあ、「ナシではないかなー」って思います。
または、簿記3級取っちゃうのもアリかと。フロントやるなら、簿記3級程度の知識はないとつらいですから、簿記3級程度の知識はあるに越したことはありません。
私の思う「捨てカテゴリー」
管理業務主任者試験とマンション管理士試験では捨て問はありませんでした。が、過去に受けた試験で、捨てた問題を例にだして紹介すると。
マンション維持修繕技術者なら、問1と問2です。この設問は、マンションの歴史について問うています。マンションは、日本では何年にはじめてできて。とか、そういうのなのですが・・・。同潤会アパートとか、軍艦島とか、まあ、一通り確認はしましたが、結局、捨てました。理由は、まずもって大正の時代とか生きてないので、時代背景にピンとこない。そのうえ、「出題範囲が広く、更に、他の問題との関連も薄いので、学習効率が悪い」。何より、興味が持てない。
二級建築士なら、建築計画の、問1と問2です。これは、建築の歴史について問われる問題。どこそこに有名な建築物があって、それを誰が設計しただ、とか。歴史的な建築様式の手法はどう、だとか。これは、かなり早い段階で捨てました。過去問もほぼ解いていません。完全にスルー。(本番でもエンピツ転がしました)理由は、「出題範囲が広く、更に、他の問題との関連も薄いので、学習効率が悪い」。何より興味がもてない。
同じ理由ですね。要するに、効率が悪いと判断した問題は切り捨てたんですよねー。
それらが、「ただただ覚えるだけ」の問題だったところも、かなりマイナスです。「理解さえすれば得点できる」という箇所は、いくら難しくても捨てちゃいけない。これがすごく楽で、やりやすいんですよ。
例えば、建築基準法、設備関連も、まあ確かに数字覚えるだけって箇所も多いのですが、その数字には何かと意味があるのです。
受水槽のマンホールのふたのサイズって覚えてますか? あれって60センチなんですけど、これは、「メンテナンスのために、受水槽の中に人が入れるだけのサイズ」だと覚えれば、「ああ、そんなもんか」、って、だいたい理解できませんか?(数値の、実際の根拠は知らないですよ、私の覚え方です)
理解と共に覚えれば、記憶も定着します。また、忘れてしまったとしても、まさか30センチだと人が掃除のために入れないじゃないですか? だったら、そりゃ違うよな、って。
そういう覚え方ができる分野は対応できるんですが、建築士で実際にでてる問題のように、「ファンズワース邸は誰が設計しましたか?」って言われても、「ファンズワース邸を知らないっす・・・」、って感じになります。更に、そんな問題を何十個も覚えろと言われましても、無駄かな、って。で、捨てました。建築の歴史に興味がなかったことも大きいのですが。
おわり
わかんないならわかんないで、スルーしちゃっても、それはそれで戦略なのでよろしいかとは思います。なのですが、そこに一定の理がなければ、他の受験者と比較して、大きなハンデを最初から持っている、というのは事実。
私は
- 学習効率が良いか悪いか
- 興味がもてるか否か
で、その問題にチャレンジするか否かを決めています。
捨て問は受験テクニックでありだとは思いますが、合格したからと言って、勉強は続けてください。 特に、会計問題は、総会で複式会計風の決算書が出てくるので、管理組合で複式会計は、ほとんどの方が理解できませんから、管理業務主任者やマンション管理士が説明できないと、決算書自体の信ぴょう性を疑わざるを得ません。
単式会計なら、工夫を加えると、家計簿の集計と同じく、ほとんどの方が理解できるので、完全自主管理の会計担当の経験から、繰越金や予備費で計上すれば、当該年度に支出はなくとも予算化できます。
せめて日商簿記3級くらいの知識は持っておかないといけないですね、じゃないと帳簿が読めないのでw
フロントとして仕事してたら、毎日見ることになるので、数年したら読めるようになってますよ~。
単式簿記は、自主管理ではやってるところはあるとは聞きますが、お金の流れもわからなくなるので、よろしくないとは思います。