フロントの仕事

マンション管理組合にお金を使わせないフロントは、良いフロントか?

お金の使い方はひとそれぞれです。

「良いものを長く使う」方もいますし、「安いものを早いサイクルで買い替える」方もいます。

もちろんその中間も。

マンションの住人も様々です。

人間ですからね。

そして、それはフロントにだっていえることです。

お金を使う事は、悪いことではない

家庭でも、仕事でも、マンションでも。

お金って大切なので「節約のために使わない」という選択は大いに検討の余地もありますが、多くの場合は利便性とのトレードオフになりがちです。

 

「生きたお金」という表現しますよね?

家庭でも、あるいは事業でも同じことなのですが、使うべきお金を使うべき時に使わないと、やせ細っていくばかりです。

マンションも同じです。

お金を”使えない”フロントもいる

マンションの運営は、管理組合が主体。

これは大前提。

フロントは、アドバイザーとして、管理組合運営に関わるわけですね。

と、言いながらも。

管理組合=素人

管理会社=プロ

という図式が非常に多いので、どうしても、マンションの資金の使途はフロントがアドバイスをして、組合側がそれに合わせる形になりがちです。

 

で。

そのフロントが、自分の財布事情の感覚で組合にアドバイスしているケースも多々あるように思います。

「質素倹約がよいこと」だと思っているタイプです。

それ自体がイケナイことだとは思いませんし、選択なので個人の自由なのですけれど。

「年間数千万円のお金の話してる横で1万円の話するの?」とか、「100万円の支出という数字だけ見て高いって言ってない?相場感覚ちゃんと持ってる?」とか。

そんなフロントもいたりするので、まあ、そういう方々はお金を”使えない”タイプなんじゃないかなーと。

 

フロントは(語弊のある表現であると認識して言いますけれど)一介のサラリーマンでしかありません。

当然、彼ら(まあ私のことでもあるのですが)は、管理業務主任者だとか、マンション管理士だとか、そういった資格をもっていますし、実務経験から知識も豊富です。

けれど、運営のプロじゃないです。

いや、プロなんですけど。

プロではあるのですが、それが「最適解を見つけるプロ」かというと、どうもそうじゃないっぽいんですよね。

管理会社や業界団体の教育資料とかを見ていると、フロントを「聞かれたことに正確な回答をするプロ」と規定して、全体がそっちを目指しているようなイメージを私は持っています。

つまり、「本質的に正しい」と思われる判断にたどり着く努力を、(あえて)していないように思うんですよね。

判断を管理組合に委ねている、というか、それで責任を回避してるというか、踏み込まないようにしているというか。

管理組合にとって危険なのは、”お金を使うこと”ではなくて、”使えない”こと

マンション管理の問題といえば、「管理会社の無駄」という面が大いにクローズアップされるのですけれど、どちらかというと私はソッチよりもコッチを心配しています。

(まあ、よくよく考えるとこれらの問題は表裏なのでどちらがどうというわけでもないのですが)

 

「もったいない」「まだ使える」という理由で、少額の工事がいつまでも実施されないケースも散見されますし、逆に「多額の費用が掛かるから後回し」にされることもあるように思います。(これらは自分自身にも心当たりがあったりするのですがw)

割れ窓理論的な話で、小さなところからほころびは発生するものです。

 

マンション運営の内容は多岐にわたり、こと細かなマニュアルがあるわけではありません。

(設備の買い替えサイクルは何を基準に設定するか、という話に、快刀乱麻を断つがごとき解答はないでしょう)

その時その時の判断はどうしても感覚や経験に頼らざるを得ず、そこには多分に主観が入ります。

よって、判断は時々で180度も変わったりします。

 

節約は大変よろしいことですが、使うべきお金とそうではないものを切り分けること。

それと、節約にかけるコストを天秤にかけること。

(自戒も込めて)バランスは見失わないようにしたいものですねー。

誤解を恐れずに言えば、管理会社の持ってくる見積もりに多少の高い安いは、当たり前にあります。

というか、管理会社もボランティアやってるわけじゃないので、その存続のために利益は呼吸のように必要です。

同時に、下請け企業も大切な取引先なので、やっぱりそっちの利益も求めます。

管理組合はお客さんなので、管理組合にも利益のあるように活動しますが、残念ながら管理会社の利益とは相いれないケースは非常に多いです。

なぜなら、管理会社の利益は、(ほぼ)すべてが管理組合から得たものだからです。

 

組合活動や運営的の面での利益を管理会社に求めるのであれば然り。

しかし、金銭的なメリットを求めて管理会社に詰め寄るのはそもそもナンセンスというか、視点がオカシイです。

(詐欺的な話は別です、念のため)

 

ABOUT ME
はじめちゃん!
はじめちゃん!
分譲マンションを管理する会社に勤めています。 資格:管理業務主任者/マンション管理士/宅地建物取引主任士/マンション維持修繕技術者/二級電気工事士/2級建設業経理士/二級建築士/1級船舶免許

POSTED COMMENT

  1. アバター 器用人 より:

     カネはカネのままでは何の価値も生みません。 家計と同様で区分所有者や住人のためになる金なら、極端に言えばどんなに高額でも無駄にはなりません。 管理規約違反でも理解を得られます。 でも、できるだけ節約した方がいいですけど。(笑) 
     一方、管理組合や住民に必要の無いカネは、1円でも支出してはいけません。 最初は少額でも、そのうち無駄使いは増えていきます。
      

  2. 問題は、無駄かどうかを判断する基準と、その協議コストですね~。
    人によって判断基準は違いますし、そこも話をややこしくさせていますね。

  3. アバター 器用人 より:

     一言でいえば情報公開で、なぜその支出が必要か説明できれば納得を得られます。 自主管理していた時に、自転車置き場が足りず、新設した時がそうでした。 隣家の窓前だったので、苦情は後から来ましたけど。

  4. 大勢で冷静に話し合いができる場合はそうですね。
    なのですが、直接管理会社へクレームをつける方は、そもそも組合運営が理解できていないケースも多くて、最初から話が通じなかったりしますね~。
    案内を読まない方、読んでも理解できない方、解釈が違う方だとか、いろいろいらっしゃいますし。
    そこで潰れるフロントも多いんだろうなー、とは、想像できる話かな、と。

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