ここでは『マンション管理会社の新人フロント向け』に、管理組合議事録の書き方についてご紹介します。
私が新人さんのときに教えてほしかったなー、という観点から書いてみました。
議事録に悩む方へ、一つの回答になれば幸いです。
管理組合の理事の方が読んでも大きくずれていないとは思いますが、数回は議事録を書いたことがある人向けの内容となっています。一度も書いたことがない方の参考には、あまりならないと思います。
『議事録』って、そもそもなに??
マンション管理に限ったことではなく、会社によっては議事録を書く機会もあるのかなと思います。社内会議の議事録や、顧客との打ち合わせ議事録などのことです。特に、ある程度大きなお金の動く法人の営業社員の場合、商談の議事録は即日か翌日には送れ、というのは結構、鉄則かなと思います。
マンション管理の議事録も、それらの会社員が作成するものと基本的な部分は同じです。
なので、議事録とはなんぞや、という話について私は詳しく書きません。
もちろん、議事録を作成する人はこの部分をきちんと理解すべきなのですが、まあ実際の新人には上司先輩から時間を取って説明の時間が設けられているか、または会社の教育施設などでレクチャーがあるでしょう。足りないところはここではない別の場所で補完してください。
あと、そのあたりはネットでも多く書かれています。
『議事録 書き方』
とでもネット検索して一通りご覧になられれば「議事録って何?」ということについては理解できるハズです。
また、関連の書式を読んでみるのはとても良いことです。新人の間からひとまずそう深く理解する必要まではありませんから、目についたものを数冊読む程度で十分でしょう。図書館で1日ほど使えば十分、基礎の部分は理解できると思います。
議事録には何を書く?
会社や管理組合によってフォーマットは種々ありますが、特に注視すべきところは以下の二つです。リンク貼っておきます。該当する条文は、必ず一度読んでおいてください。(今すぐ読んでください、後でだと読まないでしょうから)
はい、読みました?
特に大事なことは以下です。
区分所有法42条第2項
議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
区分所有法のこの部分は「すべてのマンションが守らないといけないこと」です。マンションや、管理会社の考え方によって違うことはありません。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1038064170
私がいいたいこと、わかりますか?
つまり「議事録に関するルールってこの程度しか決まってないんだよ」ということが言いたいのです。
最低限のクリアラインはここ。明確に理解、定義しておいてください。ここがわかってないと、「どこまで手を抜いてもよいのか」がわからなくなってしまいますから。
区分所有法だけでなく、規約、細則に別途定めがあればそちらもクリアする必要はあります。
ただ、議事録に特別なルールを別途定めている組合は多くありませんし、また、そのような難易度高めの組合を新人が任されるケースはおそらく無いでしょうから、さしあたって無視しても良いかなとは思います。
「議事の経過の要領及びその結果」って?
区分所有法に記載されている「経過の要領」と「結果」とは何か?
ここはひとそれぞれ微妙に解釈も違うでしょうが、私は「こんな話がありました、で、その話はこのように決まりました」を書きましょう、ということだ、と理解しています。
しかしおそらく、管理会社の先輩に指導されると、議事録とは「こんな話がありました、その話がでた理由は○○です。それに対して○○の意見がありましたが、○○の反対意見があり、○○を検討した結果、○○の理由により○○に決まりました」
というものだ、と指導されるのではかなと思います。
それは会社や先輩の方針です。このような長い議事録をかけ、ということまで『法は』求めていないと、私は理解しています。
精密な議事録について
たまに、「精密な議事録を作ること」に全精力を注ぎ込んでいる方がいます。具体的には「読めば会の内容がわかるような議事録」ですね。議事録の一つ一つがすごくボリュームのある大作です。大手管理会社に勤務する優秀な方に多いようなイメージです。
私はそういった議事録を管理会社が作ることには懐疑的です。むしろ、仕事感として的外れだとすら思っています。
これにはいくつかの理由がありますが、一番大きなところは「議事録をなんのために書くのか、というところの理解が浅いのではないか?」思うからです。
私は、議事録を「組合の総意を操作するため」のツールとして認識しています。マンション政治の道具です。
この言葉の意味、理解できますか?
この点についての詳しくは後述しますが、議事録の作成が、単に組合の日常業務であり、事実を事実のまま書くことが大事だと捉えているようではちょっと考え方が甘いと思います。
書き方は3種類
書き方は色々あると思いますが、大きく分けて4種類かなと私は思います。(他にもあったらすみません)
- 決定だけを簡潔に書く
- 協議内容もある程度盛り込んで書く
- 協議内容のすべてを書き記す
- 発言内容を一言一句書く
一般的な会社で利用する議事録は1番が多いのではないかと思います。議事録の作成は本来の業務ではないですし、経緯は全員知っているから結果だけでいい、というのが普通でしょう。指揮命令系統もきっちりしているので細かいことを議事録に残す必要もありません。
で、多くの管理会社が作るマンション管理組合の議事録は、2番だと思います。先程ご紹介した「精密な議事録」は3番に該当します。
国や地方自治体の議事録は4番を採用しているケースが多い(というか私が見た中では全部そうでした)のではないかと思います。手間はかかりますが、ただの文字起こしなのでスキルが不要なのと、書き手の意思が一切挟まれないので議事録としてはもっとも公平です。
あと、こちらも参考になるかと思います、とある管理会社がオフィシャルに発信している弁護士様の意見です。
参考:https://www.gojin.co.jp/faq/03/faq_03_36.htm
新人はどういう議事録を書くべきか
これについては答えは一つしかありません。
「前回の議事録に合わせればよい」です。
管理組合ごとで議事録の特色はありますが、それも、管理組合ごとにあわせてあげてください。文体も「ですます調・だである調」色々ありますが、何も考えずに前例に倣えばよいでしょう。
私達の仕事が特殊なのは「議事録は管理組合が作成するもの」であり、議事録は私達が主体で作成する文章ではないということです。
私達はゴーストライターのような存在です。本来、そこに書き手としての主義主張を混ぜていはいけないものなのです。
議事録の書体や形式を変えるということは、連綿と続いてきた管理組合の歴史をないがしろにするということです。
当然、状況に応じて変更するケースもありますが、その可否の判断は経験の浅い新人がして良いものではありません。
あらゆる意味で正解は「前の議事録と同じものを作る」になります。
議事録の書き方
「去年と同じものを書け」と言われてもなかなか書けないでしょう。気持ち、わかります。
だって去年の総会にあなたは参加していませんから。
ということで、議事録の書き方について、ちょっと実例を交えて紹介してみます。
議事録の枠組み
書き順は次のとおりです。
- 内容を紹介する
- 決定(結論)を書く
- 次にすること書く(なければ書かなくてよい)
- 補足を書く
この流れで書いた「ペット禁止のマンションで犬を飼っている」という議事録を紹介します。
一部住民が犬を飼育しているとの報告があった。協議の結果、理事長が当該住戸へのヒアリングを行うこととした。また、ペットは禁止である旨の注意喚起書面を掲示することとした。
なお、現在の管理規約には、盲導犬の可否や、犬猫以外の動物の飼育の可否についてなどは記載されていない点について課題がある(管理規約第●条第●項参照)。本件は次回総会で意見交換の場を設けることとした。
分解するとこうなります。
- 内容を紹介する
└一部住民が犬を飼育しているとの報告があった。 - 決定(結論)を書く
└協議の結果、理事長が当該住戸へのヒアリングを行うこととした。 - 次にすること書く
└また、ペットは禁止である旨の注意喚起書面を掲示することとした。 - 補足を書く
└なお、現在の管理規約には、盲導犬の可否や、犬猫以外の動物の飼育の可否についてなどは記載されていない点について課題がある(管理規約第●条第●項参照)。本件は次回総会で意見交換の場を設けることとした。
ではこれを、実際に話し合われた文章に直してみましょう。
理事長=「長」と記載。60代男性。
副=「副」と記載。50代女性。
監事=「監」と記載。70代男性。
管理会社フロント=「フ」と記載
****
フ:ではこれで予定の審議は終わりですね。他になにか打ち合わせることありますか??
一同:・・・・。
フ:なさそう、ですね?はい、大丈夫そうですね。それじゃあ、今日の打ち合わせ通り、次の理事会までに○○の資料は用意しておきます。あとの細かいところは理事長と打ち合わせして実施しておきますね。
長:はい、よろしくお願いします。・・・私の任期もあと3ヶ月でしたっけ?長かったですねえ。管理会社さんにはお世話になりっぱなしで。助かりました。
副:私なんて何もしてないくらいで・・・なんだか申し訳ないです。理事長さんにはおまかせしてばっかりで、でも次の役員になる人って大変じゃない?修繕工事するんでしょう?責任重大ね。
フ:まあそうですけれど、大事なことは総会で決めますから役員さんだけに責任があるというわけでもないですよ。来年から委員会のメンバー募集する予定ですし。皆さんやりましょうよ、委員会。
副:いやあ、まあちょっと・・・。
監:工事は来年ですか?
フ:うーん。皆さん次第ですけど、準備してると1年くらいかかりますから、たぶん再来年くらいの着工になると思います。急げば来年も不可能ではない、って感じですね。
監:なるほど、再来年くらいですか。私は生きてるかわかりませんねえ。
一同:(笑い)
副:あ、前から気になってたんですけどね。ここのマンションペット禁止ですよね?
フ:そうですね、禁止です。あ、でも、禁止は犬猫だけですよ。ほかは禁止されてません。ハムスターとかインコとかは飼ってる人もいると思いますよ。
副:そうじゃないの、犬飼っている人いるのよ。聞いてませんか?ほら、2階のあの人。私このまえエレベーターで一緒になっちゃって。
フ:あ、そうなんですか?少なくとも私は聞いていないですね。初めて聞きました。みなさんもご存知なんですか?
副:普通、抱きかかえるとか、エレベーターは遠慮するとかあるじゃないですか?昔、3階の人もあの人もワンちゃん飼ってましたけど、散歩の時はちゃんとケージにいれてましたよ。あの人は平然と「こんにちは」って言ってて。私腹たっちゃって。掲示板にもペット禁止って貼ってますよねえ?
フ:あ、そうなんですか。同じような話は他のマンションでもよく聞きますね。案外、対応も難しかったりして長引くことも多いですね。
長:まあ生き物のことですしねえ。
副:私もね、ダメっていうつもりはないんですよ?でもちょっと、腹が立っちゃって、ねえ?
フ:まあそうなんですが、ルールのことなので、ペット禁止は守ってもらう必要あるとは思いますよ。それをヨシにしちゃうと、他のルールも守らなくていいになっちゃって収集がつかなくなりますから。
長:他のマンションではどうしているのですか?
フ:うーん、組合さんの考え方次第なんですが・・・。まあでも、選択肢は限られます。完全に禁止と強く申し入れるか、1代限りなどの特例で許可するか、いっそのことマンション全体でペット可にするか、くらいですね。
副:でも、アレルギーがあってこのマンションを買った人もいるでしょうし、やっぱり、許可するのは良くないんじゃないです?
フ:そういうお話ももちろんありますが、例えば盲導犬の申請があったらどうします?いまお住まいの方に盲導犬が必要となった場合、拒否してしまうことって難しいと思うんです。出ていけってことになりますから。じゃあ、許可するかというと、盲導犬のアレルギーは我慢できて他はダメって理屈に合わないですよね?だから、アレルギーを理由にするのはあまりいいと私は思えないんです。素直にルール違反であるからということを重く見て対応したほうが、運営がやりやすいと思いますよ。犬猫以外のアレルギーだってあるでしょうが、じゃあそれは大丈夫なのかという話もありますし。
副:あー、ほんとだ、そうですね。あ、いや、私はダメって言ってるわけじゃないんですけどね?
フ:まあ、ペットを良いにするなら黙認せず規約を変えたほうがいいと思いますよ。前にもいらっしゃったんですよね?だったら、規約でルールを作って、条件付きでよしにしたほうが健全かなって私は思います。
副:それも次の役員さんのお仕事になりそうですねえ。
フ:まあ、そうですね、規約変更するなら準備もいるので、すぐに変更は難しいと思います。それに、隠れて飼っているケースって実は結構あるので、今わかってる方の他にもいるかもしれませんね。特に、猫なんて家に入らないとわかりませんし。あと、今の規約だと犬と猫は禁止されてますが、ほかは禁止されていません。よくあるのはうさぎですね。禁止されていませんから特に申請の必要もありませんけど、でも、そういう申請があった場合のこともあわせて考えたほうがいいと思いますよ。例えば、ブタ飼いますとか言われたらどうします?犬はダメなのにブタの散歩しにいく人がいたら「おいおい」ってなると思うんですよ。
副:ブタなんて飼えるんですか?
フ:私は聞いた経験ないですけどね。ニュースでは見たことありますよ。ペット化されたミニブタってのがいるみたいです。どうも思うより飼育は大変みたいですけど。
副:へえ、でもこわいですよねえ。イノシシが走ってるニュースもありましたし。
フ:ペットについてはデリケートな問題です。そういった思ってないリスクもあるので、飼ってしまう前にルールを決めといたほうが無難だとは思います。
長:そうですね。でも私達では決めきれませんね。次の総会で皆さんの意見も聞いてみましょうか。
フ:わかりました。・・・皆さんもそれでいいですか?
監:今の飼っている人にはどうしましょう?そのままですか?
フ:うーん。電話で声かけるくらいならしますが、飼ってるのは間違いないんですよね?預かってるとかじゃなくて。だったら、私が聞きに行くとダメって言うしか無いんですよ。すぐやめてくださいって。そういうのでいいですか?
監:それも気の毒ですねえ。
フ:でもまあ、わかっててなにもしないのもちょっとまずいかもですね、前から飼ってるんでしたら今更感ありますが・・・。今から行ってみます?私も行きますよ。
長:あの、ちょっと、言いにくいんですが。2階の、○○さんですよね?子供が同学年で、妻が仲良くしているんです。それで、ちょっとまってもらえませんか?エレベーターは乗らないように話ししておきます。
副:あ、いえ、なんか私、余計なこと言っちゃったかしら。
フ:ああ、でしたらお願いします。あとのことは総会で話ししますか?
長:そうですね。そうしましょうか。
監:掲示板の張り紙も見ていない人がいるかもしれませんし、もう一度、全戸に配っておいてもらえませんか?
フ:わかりました。ペット禁止ですって内容でいいですか? 皆さんもそれでいいですか?
長:お願いします。
フ:わかりました、じゃあ、書面は作って、最後、理事長に確認していただいてよかったら配っておきますね。
****
結構適当に書いたので微妙な点あるかもですが、そのあたりは雰囲気で察してください。先日実際にあった理事会の話です。
かなり雑談の色が濃い協議を想定して書きました。無駄な話は多いですね。
で、これをまとめると、上記のみじか~い議事録が出来上がります。
会話の8割位すっ飛ばしてますよね? いつも、私はだいたいこんな感じです。
これが正解というわけではありません、上司先輩によっては「話し合われたのであれば雑談も書け」とする人もいるかもしれませんが、私は無駄だと思っているので書きません。
特に「そろそろ大規模修繕工事しますよね」みたいな冒頭の話はどうでもいいので飛ばせば良いでしょう。ペットの話も、「なにかやりましょう」がなければ議事録に書かなかったと思います。
このくらいざっくりぶっ飛ばしても良いだろう(というか私はぶっ飛ばしている)ということを実例としてご紹介しておきます。
ただし、その「書かなくても良い」か否かを判断するにのは、業務への深い理解が必須です。これができる時期、つまり、「業務に慣れる頃」というのが、入社して1年くらいだと思います。
議事録を変更するなら?
この議事録で、変更をするなら補足の部分を変更すればいいでしょう。
なお、現在の管理規約には、盲導犬の可否や、犬猫以外の動物の飼育の可否についてなどは記載されていない点について課題がある(管理規約第●条第●項参照)。本件は次回総会で意見交換の場を設けることとした。
上の部分です。みなさんなら何を書き、何を書きませんか?
ペットを禁止する方向で書くするなら、ペットを飼育することのデメリットを書き、規約違反であるから問題だ、とでもすればいいでしょう。
ペット飼育を許可する方向で調整をすすめたいなら、過去は飼育しているものもいたが問題とはならなかったことを抜き出して書けばよいでしょう。
いずれも、ちょっと一文を付け加えるだけで印象は大きく変わります。
話し合ったことのどの部分を抽出するかは、議事録を書く人間次第です。
この絵ですね。あなたは事実をどう切り取りますか?
その意味と責任を十分に考えて議事録を書きましょう。
文章はあなた次第です。もちろん切り取らず、全体を写すことも良い選択肢かもしれません。
議事録のレベル
議事録のレベルを、私は以下のように定義しています。
- レベル1(議事録としての体をなしていない)
決定事項が書かれていない(5W1Hがない)など。論外。 - レベル2(議事録として利用できる)
決定事項が書かれており、また、次に何をするかが理解できる。新人はまずここを目指す。独り立ちの条件。 - レベル3(広報として利用できる)
会に参加していないものと意識を共有できる。 - レベル4(書き手の意思が支配に及ぶ)
議事録を見た者が、書き手の思惑通りに思考し行動する。
議事録で組合を操作できるようになれば一流です。
質疑いろいろ
以下は、私なりの考え方のご紹介です。正解ではないことも含まえれています。それどころか、状況によっては間違いというケースもありますからご注意ください。
どうすれば議事録が書けるようになる?
特別な手段はなくて、経験とか訓練だと思います。
- 書きたいことはあるけれど、文章表現のいい言い回しがない、という場合は「○○ 類語」とウェブ検索をかける。
- 便利な言い換え表現をメモしておく(仕方なく→やむを得ず、など)
など、そういった小技はないこともないのですが、まあこのあたりはあまり重要なことではなくて、「時間が解決する」という程度のことかと思います。やっているうちに、自分なりの型が出来てくるもので、それが1年とか2年とかだと思います。
成長の速度は人それぞれで、早い人と遅い人はいますが、この手のものは努力する人はうまくなるし、努力しない人はどこかで成長は止まるし、というあたりです。
あと、まあよく言われることですが、本を読みましょう。読解力がないと文章って書けません。
タイトルは何でもいいです、ラノベでもなんの問題もありません。漫画でも読まないよりはいいと思いますが、漫画の場合は表現が視覚に寄っているので読解力の部分での効果は薄いとは思います。
あと、単純にそういう解説の本を読んでみることもいいと思います。以下は私が読んだことあるもので、良かったものです。
本を買ってもいいですが、それなりにお金もかかりますから、図書館に数日こもれば文章の書き方についての基礎知識は十分得られるかなと思います。特に気に入った数冊だけ買えばいいのかなと思います。
本当はちゃんと日本語の基礎能力から勉強するべきなのですが、まあそこまでフロントに求められているわけでもないので私はやっていません。
余談ですが、この手のスキルを紹介する本は、できるだけ新しい本がいいと思います。文章の書き方というものは時代で変わるようなものではないですが、それでも時代背景から、古い本は言い回しが馴染めず、読むこと自体が苦痛だったりすることもあるからです。書き手と感性が違うと、読み手の負担は大きいです。
書いてあることはどの本もあんまり変わらないので、スタートの時点では、とりあえず数をこなすことが大事です。
とまあ、「どうすれば書けるようになりますか」については、時が解決します、というのが本当のところの答えだと思ってもらって大丈夫です。
会の経緯がわかるよう詳細な議事録を書くべきか?
これの答えは、私の中では一つです。
「読んだ人間をどのように行動させたいのか」によって『使い分けろ』、です。
行動させたくないなら簡潔に書いて、行動させたいなら行動させるだけの文章を書いたほうがお得です。
私は、議事録をマンション政治の道具として捉えています。その必要があれば克明に描書きますし、不要なら書きません。結果が伴わないのであれば、「良い議事録」を書いたところで消費する労力に意味がないでしょう。
なんのために議事録を克明に書くのか?の問に対して、「みんなにわかってもらうため」とするのもいいですが、わかってもらった結果どうしたいのか?を一度考える必要があります。
賛同してもらいたいんですよね?
であれば答えは自ずと書くべき内容も見えてくるのかな、と思います。
私が丁寧な議事録を書く、考えや否定し「やめろ」というつもりはありません。あくまでも、私はそう考えている、という程度です。
議事録に書くべきことと書かなくていいこと
判断の基準は、「決定事項(または次にするべきこと)があるかどうか」で良いと思います。
決定事項がなければ「意見交換を行った」という議事録にしかなりません。書く必要はないでしょう。
と言いながらも。ケースバイケースです、決定事項がなくとも書くべきこともあるのですが、このあたりは感覚になるので都度判断するしか無いですね、言葉では表現できません。
例えば、議事録に話し合った事実を書いておくと責任逃れになる事柄であったりするなら書いたほうがいいです、なにか、議事録に書いて得になるなら積極的にかけばいいです。
管理会社の議事録と組合の議事録は同じ?
『管理会社の書く議事録』と、『管理組合理事の書く議事録』は根本的に別物です。
立場が違うからです。
繰り返しになってしまうので詳しくは書きませんが、単に、組合の一つの業務を管理会社に委託されている、くらいに思っているようなら「あまっちょろいですぞ」と私は申し上げておきます。
ただし、管理会社が組合に「違うよ」とかそういう事は言うべきではないので黙っておけばよいでしょう。あくまでも、内々に、担当者が心の内でそう認識しておけば良いことです。
対外的には「管理組合業務の補助として、管理組合の代わりに議事録を作成している」ということを言っておけば良いと思います。
議事録はいつまでに仕上げる?
もし、社内規定があれば何も考えずそれに従ってください。そこが一番大事。
特に規定がなければ、上司先輩にリミットは設定してもらえばいいとは思います。
ちなみに私の場合、
- 1週間程度で仕上げ→役員回覧で1周間程度→回収~印刷して発送に1週間程度
という流れが通常運転。
なので、「総会・理事会後、3週間~1ヶ月程度で製本をお手元にお届け」が私の平均です。
で、じゃあ新人の頃はどうだったかというと、議事録作成に3週間前後かかっていました。
そこから回覧等を行うので、終了後1.5~2ヶ月程度で製本を配付、が平均だったと思います。
以上が私の実体験。
世の中では「2周間以内に製本配付までしてもらわないと困るよね」という風潮もありますが、私はあまりそういう外野の意見は気にする必要はないと思っています。なぜならそんなもん現実的ではないからです。(きっぱりと無理です)
組合へ提出して署名依頼(修正があれば修正)、そして持って帰ってきて印刷、さらに郵送、という手間があるわけです。仮に実働1日で議事録を仕上げたとしても、2周間以内に議事録配付は結構ギリギリというケースのほうが多くなります。
フロントも各種仕事していますし、議事録だけにかまけているわけにも行きません。実働1日で議事録を仕上げさせたいのであれば、マンション専属でフロント一人雇えるくらいお金払うべきで、それができないなら黙ってろ、になります。具体的には、目安で粗利益1000万~2000万です。大きなマンションにしか無理ですね。
で、時期の話に戻ると、ごく個人的な意見ですが「理事長への提出が3週間以内ならセーフ」だと(あくまでも私は)思っています。
3週間とした明確な理由はありませんが、何かと作業をしていれば3週間程度遅れることはどうしても発生します。なので、「3週間までなら許してもらわないと、もうそりゃ仕方ないでしょ」という感覚です。
一応、可能なら、遅くとも2周間以内には理事長へ提出したいところですが、、、ま、無理なもんは無理、そのへんはきっちり割り切りましょう。
特に新人のうちは仕方ないかなと思います。同時に、そうったスケジュール管理は、新人のうちは上司・教育係の仕事になります。リミットをどこに設定するかは直接聞いて確かめればよろしいでしょう。
会社の方針で1周間としているならそれに従うことにはなります。
おわり
まとめると、
- 議事録には「議事の経過の要領及びその結果を書く」。これがルール
- 新人は「前回の議事録に合わせて書く」が正解
- 議事録は、マンション政治のツール
- 議事録に書くか書かないかの判断の基準は、「決定事項(または次にするべきこと)があるかどうか」
- 「書くべきこと=書くと得なこと」という考え方も大事。得じゃないことは書かないか婉曲な表現に変更すると良い
- 数をこなせば書けるようになるので、まあ結局の所あまり心配しなくても大丈夫
新人がまず理解すべきことは「議事録にルールなんてないぞ」ということかな、と思います。
どうすればかけるようになるかと問われれば。なんというか、単純に「場数をこなすしかなかろう」と思ったり思わなかったりはします。
なんだかとりとめのない感じになりましたが、以上です。
たぶん、ポイントは「議事録って好きに書いたらええんやで」というあたりかなとか思ったりしました。
相変わらず濃い内容です!議事録はレコーダーの書き起こしではないので、そこはわかっていただきたいと感じることはあります。あんまり意味がないので!笑
(﹡´◡`﹡ )
実務感としては、あまり議事録にこだわりを持っている理事会さんも少ない印象ですねえ。
なので、余計に、フロントは、議事録を上司(会社)に向けて書いているような印象はあります笑
区分所有法42条第2項
なんてあるのですね。
大手管理会社が作る議事録で、
「会計状況について確認した」
「修繕課題について検討した」
:
の羅列で、なんじゃこりゃ?と思いました・・・
もう少し、まともにしてもらえませんか?とお願いしたら、あくまで素案ですから、追記は管理組合でおこなってもらって構いません。って感じでしたね。
大凶はいやさん
こんにちは(╹◡╹)
おそらく、理事会での決定事項がなかったのだろうと思います。
私も、そう変わらない議事録を書いているのでなんとも言えませんね(苦笑
管理会社目線でいうと、
「あくまで素案ですから、追記は管理組合でおこなってもらって構いません」について、
わからなくはない意見ではあります。
(実際にどう言われたのかわかんないですが。もう少しソフトな言い方でも良いのでは、は思いますけれど)
別紙として会計状況や修繕課題の資料が配付されているのかなと想像しました。
例えば、それを議事録に添付するなどで理解できるならそれを求めるなど、具体的にどうしたらご納得なさるのかもまとめたうえで、相手の管理会社社員と話し合ってみてもよいのかなとは思います!